「ノースフェイスのジャケットが欲しいけれど、ゴアテックスは高すぎる……」
「お店で見かける『ハイベント』って、ぶっちゃけ雨に濡れても大丈夫なの?」
アウトドアブランドの王道、ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)。その製品を手に取ったとき、多くの人が直面するのが**「素材選びの悩み」**です。
特に、独自素材である「ハイベント(HyVent)」は、手に取りやすい価格帯のモデルに多く採用されています。しかし、防水透湿素材の代名詞である「ゴアテックス」と比較して、どのような性能差があるのか、どれくらい長く使えるのかは意外と知られていません。
この記事では、ノースフェイス独自の防水透湿素材「ハイベント」の正体から、気になる寿命、そして性能を維持するための正しい洗濯方法まで、徹底的に深掘りしていきます。
ハイベントとは?ノースフェイス独自素材の正体
まず結論からお伝えすると、ハイベントはノースフェイスが独自に開発した「防水透湿性素材」です。
「防水」は外からの雨を防ぐこと、「透湿」は内側のムレ(水蒸気)を外に逃がすことを指します。この2つの機能を両立させているのがハイベントの最大の特徴です。
仕組みは「ポリウレタンコーティング」
ハイベントの構造は、ナイロンなどの表地の裏側に、特殊なポリウレタン(PU)コーティングを施すことで成り立っています。この膜には微細な穴が開いており、雨粒のような大きな水滴は通さず、汗による水蒸気のような小さな粒子だけを通す仕組みです。
日常のレインウェアや、週末のキャンプ、フェス、軽いハイキングといった用途であれば、十分すぎるほどのスペックを持っています。
「ハイベント」と「ドライベント」の違い
最近、ノースフェイスの店舗やオンラインショップで「ドライベント(DryVent)」という名前を目にすることが増えていませんか?
実は、現在ノースフェイスのグローバル規格では、これまでの「ハイベント」から「ドライベント」へと名称変更が進んでいます。基本的には同じ「独自開発の防水透湿素材」という位置づけですが、最新モデルを探している方は、ドライベントと記載されていても「ハイベントの進化・後継版」だと考えて間違いありません。
ハイベントとゴアテックス、どっちを選べばいい?
購入時に一番迷うのが、最高峰素材であるゴアテックス(GORE-TEX)との違いですよね。それぞれの特性を理解すれば、どちらが自分に合っているかが明確になります。
圧倒的なコストパフォーマンス
ハイベントの最大の強みは、何と言っても「安さ」です。
ゴアテックスを搭載したモデル、例えばマウンテンライトジャケットなどは3万円〜4万円以上の予算が必要になりますが、ハイベントを採用したドットショットジャケットやベンチャージャケットなら、1万円台から手に入ることが多いです。
「たまにしか山に行かない」「街着としての防水性が欲しい」という方にとって、この価格差は非常に大きなメリットになります。
着心地のしなやかさ
ゴアテックスは、非常に頑丈な「メンブレン」という膜をラミネートしているため、生地に独特の硬さ(パリパリ感)が出ることがあります。対してハイベントは、生地にコーティングを塗布する形式が多いため、非常にしなやかで柔らかいのが特徴です。
身体を動かしやすく、シャカシャカ音が少ないため、タウンユースやリラックスしたキャンプシーンではハイベントの方が快適に感じることも少なくありません。
性能の限界:ハードな登山には不向き?
一方で、透湿性(ムレを逃がす力)に関しては、やはりゴアテックスに軍配が上がります。
真夏の低山登山や、重いザックを背負って急斜面を登るような「激しく汗をかくシーン」では、ハイベントだと内側が結露してベタついてしまうことがあります。
「自分の汗で中がびしょ濡れになる」という事態を避けたい本格的な登山を目指すなら、奮発してゴアテックスを選ぶのが正解です。
ハイベントの寿命と「ベタつき」の正体
「ノースフェイスのジャケットを数年ぶりにクローゼットから出したら、裏地がベタベタしていた……」
「白い粉のようなものがポロポロ落ちてきた……」
これらは、ハイベントに限らずポリウレタンコーティングを採用したウェアの宿命である**「加水分解」**という現象です。
寿命の目安は3年〜5年
ハイベントの寿命は、一般的に製造から「3年〜5年」と言われています。
ポリウレタンは空気中の水分や湿気と反応して、時間が経つと少しずつ分解されていきます。たとえ一度も着ていなくても、クローゼットの中に放置しているだけで劣化は進んでしまうのです。
加水分解を早めてしまうNG習慣
- 雨に濡れたまま放置する
- 汗をかいたのに一度も洗わずに保管する
- 直射日光が当たる場所に干す
- 湿度が高いクローゼットに押し込む
これらはすべて、ハイベントの寿命を縮める原因になります。特に、日本の夏は高温多湿。この時期の保管方法が、ジャケットの運命を分けると言っても過言ではありません。
性能を劇的に長持ちさせる!正しい洗濯法
「防水ウェアは洗うと防水性能が落ちる」と思っていませんか? 実は、それは大きな間違いです。
汚れや皮脂が生地に付着したままの方が、防水膜の劣化を早め、表面の撥水性も低下させてしまいます。定期的なメンテナンスこそが、ハイベントを長持ちさせる唯一の道です。
ステップ1:準備
まず、すべてのジッパーとベルクロ(マジックテープ)を閉じます。開いたままだと、洗濯中に生地を傷める原因になります。また、ドローコード(ゴム紐)も緩めておきましょう。
ステップ2:洗剤選び
ここが最も重要です。一般的な洗濯洗剤に含まれる「柔軟剤」「漂白剤」「蛍光増白剤」は、ハイベントの微細な穴を塞いだり、生地を傷めたりするため厳禁です。
理想は、ニクワックスなどのアウトドアウェア専用洗剤を使うこと。もしなければ、エマールなどの「おしゃれ着洗い用中性洗剤」を少量使用してください。
ステップ3:洗濯機の設定
洗濯ネットに入れ、「弱水流コース」や「手洗いモード」で洗います。脱水は短時間(1分以内)にするか、水がポタポタ垂れない程度にタオルで水分を吸い取るのがベストです。防水生地は水を通さないため、洗濯機で激しく脱水をかけると、洗濯機自体の故障や生地の剥離を招く恐れがあります。
ステップ4:乾燥と熱処理
直射日光を避け、風通しの良い場所で陰干しします。
そして、ここが裏技。乾いた後に、低温設定の乾燥機に20分ほどかけるか、当て布をして低温でアイロンをかけてください。
実は、ハイベントの表面にある「撥水基」という細かな毛は、熱を加えることで再び立ち上がります。これにより、水滴をコロコロと弾く性能が劇的に復活するのです。
ベタつきが出た時の応急処置:重曹で救済できる?
もし、すでに裏地が少しペタつき始めている場合、完全に元の防水性能に戻すことは不可能です。しかし、捨てる前に試してほしい救済法があります。
それは、**「重曹水での洗浄」**です。
ぬるま湯に重曹を溶かし、そこにジャケットを浸けて優しく揉み洗いをすると、劣化したポリウレタンのコーティングを意図的に剥がし落とすことができます。
もちろん、コーティングを剥がせば「防水機能」は失われます。しかし、白い粉が落ちるストレスからは解放され、軽量な「ウィンドブレーカー」として第2の人生を歩ませることができます。コンパクトジャケットのような感覚で、晴れた日の防風着として活用するなら、この方法もアリです。
シーン別:ハイベント採用のおすすめモデル
ここで、ハイベント(またはドライベント)を採用したノースフェイスの人気定番モデルをいくつか紹介します。自分のライフスタイルに合う一着を見つけてみてください。
万能型の定番「ドットショットジャケット」
ドットショットジャケットは、ハイベントを代表する超ロングセラーモデルです。
適度な厚みがあり、春先や秋口のアウターとして最適。ゆとりのあるシルエットなので、中にフリースを着込めば冬の街着としても活躍します。カラーバリエーションが豊富なのも魅力です。
軽量・コンパクトなら「ベンチャージャケット」
「常にカバンに入れておきたい」という方には、ベンチャージャケットがおすすめ。
ハイベント2.5層構造を採用しており、裏地が肌に張り付きにくい加工が施されています。非常に軽くてコンパクトに収納できるため、急な雨対策として、あるいは旅行のお供としてこれ以上のものはありません。
冬の防寒なら「カシウストリクライメイトジャケット」
カシウストリクライメイトジャケットは、ハイベントのアウターと、中綿入りのインナージャケットがセットになった3WAY仕様。
気温に合わせて「アウターのみ」「インナーのみ」「セットで着用」と調整できるため、秋から春先までこれ一着で乗り切れるコストパフォーマンス抜群のモデルです。
まとめ:賢く選んでノースフェイスを楽しもう
ノースフェイスの「ハイベント」は、決してゴアテックスの「単なる劣化版」ではありません。
- 1万円台から買える圧倒的なコスパ
- 街着やキャンプに最適な柔らかい着心地
- 適切なお手入れで数年はしっかり使える防水性
これらを兼ね備えた、非常にバランスの良い実力派素材です。
もちろん、寿命があることや、極限状態での透湿性には限界があることを理解しておく必要はあります。しかし、自分の活動範囲が「週末のアウトドア」や「日常の雨対策」であれば、ハイベントは最も賢い選択肢の一つになるはずです。
お気に入りの一着を手に入れたら、ぜひ今回ご紹介した「熱を加えるメンテナンス」を試してみてください。驚くほど長く、そして快適にその機能を維持できるでしょう。
ノースフェイス「ハイベント」の実力は?ゴアテックスとの違いや寿命、洗濯法を解説しましたが、あなたのスタイルにぴったりの一着は見つかりましたか?自分に合った素材を選んで、もっと自由に、もっと快適にアウトドアライフを楽しんでくださいね。

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