「朝、テントのファスナーを開けた瞬間に広がる大湿原。息をのむって、こういうことかと思いました」
これは実際に坊がつるでテント泊をした友人の言葉です。標高1230mのくじゅう連山の真ん中にぽっかりと広がるその場所は、まるで山の神様が特別に用意してくれた秘密の庭みたいなところ。本当に、そんな感じなんです。
今日はその魅力を余すところなくお伝えしますね。
坊がつるが「九州のテント泊の聖地」と呼ばれる理由
正直に言います。僕はこれまでいろんな山でテント泊をしてきましたけど、坊がつるの朝の空気は別格です。
目の前に大船山、振り返れば平治岳、その向こうには久住山。ぐるっと360度、山並みに囲まれた湿原にテントを張れる場所って、九州広しといえど、ここだけじゃないでしょうか。
しかも、何がすごいって無料で利用できて予約も不要。坊がつるキャンプ場は環境整備協力金的なものもありません。ありがたすぎます。
夜は満天の星空。湿原から見上げる天の川は、本当に落ちてきそうなくらい近く感じます。街灯ゼロの世界で、静寂と星明かりだけに包まれる夜。これを求めて、みんな重い荷物を背負って登ってくるんですよね。
坊がつるテント泊へのアクセスと基本情報
「山の上でテント泊ってハードル高そう…」って思いますよね。でも坊がつるは、意外と行きやすい場所なんです。
アクセスの起点は、大分自動車道・湯布院インターから車で約30分の長者原(ちょうじゃばる)です。駐車場は広くて500台以上停められます。ここから歩き始めて、だいたい2時間くらいで坊がつるに到着します。
コースタイムの目安はこんな感じです。
- 長者原 → 雨ヶ池越えルート:約2時間(緩やかで初心者向け)
- 長者原 → 坊がつる:約2時間〜2時間半
- 吉部(きべ)登山口 → 坊がつる:約1時間半(最短ルート)
吉部からのルートは時間は短いですが、道がやや荒れ気味なので注意が必要です。はじめての方は長者原からのメインルートが断然おすすめです。
坊がつるのテントサイトは約200張り分のスペースがあります。広大なので、混み合うシーズンでも場所が見つからないということはまずありません。ゴールデンウィークや夏休み、紅葉シーズンはかなり賑わいますけど、それでも「張れない」って話は聞かないですね。
水場はキャンプ場内の坊がつる水場と、少し歩いたところにある法華院温泉山荘の水場の2ヶ所があります。どちらも豊富な水量で涸れる心配はほぼありません。煮沸すれば飲用可能です。
坊がつるテント泊の最大の魅力「温泉に入れる」という奇跡
これ、本当に強調したいポイントなんです。山の上でテント泊して、温泉に入れるんですよ。信じられます?
坊がつるのテントサイトから歩いて15分ほどの場所に、法華院温泉山荘という山小屋があります。ここで日帰り入浴ができるんです。料金は500円。石鹸やシャンプーは使えませんが、疲れた体をお湯に沈められる幸せといったら、もう。
しかも、山荘の売店ではビールや日本酒、おつまみ、カップラーメンなんかも販売しています。つまり、極端な話、食料を全部山荘で調達するつもりで行けば、ザックをかなり軽くできるんです。
テントサイトに戻って、温泉上がりの一杯。暮れゆく湿原を眺めながら飲むビール。最高に贅沢な時間です。
おすすめのモデルコースを紹介します
「坊がつるに行く」といっても、楽しみ方は人それぞれです。大きく分けると、こんなパターンがあります。
パターン1:まったり湿原満喫プラン(初心者向け)
朝ゆっくり長者原を出発して、昼過ぎに坊がつる到着。テントを設営したら、あとは法華院温泉に入って、湿原を散策して、のんびり過ごす。夕暮れと星空を堪能して、翌朝またゆっくり下山。これだけでも十分に価値のある体験です。
パターン2:ミヤマキリシマ狙いの平治岳ピークハント(5月下旬〜6月中旬限定)
坊がつるにテントを張ったら、早朝に平治岳へアタックします。この時期の平治岳は山全体がピンク色に染まるほどのミヤマキリシマの群落で、それはもう言葉にならない景色です。新緑とのコントラストが本当に美しくて、これを目当てに全国から登山者が集まります。
パターン3:縦走欲張りプラン(経験者向け)
坊がつるをベースに、大船山、久住山、中岳などを1泊2日でぐるっと周回するプランです。距離も標高差もそこそこあるので、体力に自信のある方向け。でも達成感は半端ないです。
坊がつるテント泊の必須装備と快適に過ごすコツ
さて、ここからは実用的な話を。
標高1230mの坊がつるは、平地より当然気温が低いです。夏でも朝晩は冷えますし、春や秋は氷点下になることもザラです。実際、テントの結露が凍ってた、なんて話も珍しくありません。
絶対に持っていくべきものリスト
- しっかりした防寒着(ダウンやフリース。夏でも必ず)
- レインウェア(突然の夕立や霧に備えて)
- ヘッドライト(夜のトイレや温泉からの帰り道に必須)
- モバイルバッテリー(電源はありません)
- 現金(法華院温泉山荘はカード使えません)
装備の重量は、1泊2日でだいたい12kg前後が目安です。削れるところを削れば9kg以下に抑えることも可能ですね。
ちなみに、僕が坊がつるでテント泊デビューした友達にすすめているアイテムが、mont-bell ステラリッジテントです。軽量で設営も簡単なので、テント泊初心者には本当におすすめです。あとはサーマレスト Zライト ソル。コンパクトで軽いマットがあると、岩がちな地面でも快適に眠れますよ。
寝袋はちょっと奮発して、mont-bell ダウンハガー800クラスのものがあると安心です。標高が高くなくても、夜は結構冷え込むので。
知っておきたい注意点とマナー
とても大切なことなので、しっかり書いておきます。
トイレの話
坊がつるのテント場には立派なバイオトイレがあります。男女別で清潔に管理されていて、利用は無料です。チップ制などもないので気軽に使えますが、トイレットペーパーは備え付けのものがなくなっていることもあるので、念のため自分用を持参するのがマナーです。
ゴミの話
ゴミはすべて持ち帰りが原則です。山に来てゴミを置いていく人はいないと思いますが、あえて明記します。
テント場のマナー
風向きを考えてキッチン(バーナーを使う場所)とテントの位置を決めましょう。強風時はテントが飛ばされることもあるので、ペグダウンはしっかりと。
あと、湿原にテントを張るのは絶対にNGです。湿原はとてもデリケートな生態系なので、決められたエリアで設営してくださいね。
ベストシーズンはいつ?坊がつるテント泊の季節別ガイド
春(4月〜5月)
新緑が美しく、気候も穏やかな日が多いです。ただし朝晩はまだ氷点下の日もあるので冬装備で。5月下旬からはミヤマキリシマが咲き始めます。
夏(6月〜8月)
標高が高いので平地よりは涼しいですが、それでも昼間は暑いです。夕立に注意。星空が一番きれいなシーズンです。
秋(9月〜10月)
紅葉シーズン。特に10月中旬から下旬の大船山の紅葉は絶景です。空気が澄んで遠くまで見渡せます。この時期が一番テント泊に適しているかもしれません。
冬(11月〜3月)
上級者向けです。積雪や凍結に備えた装備と経験が必要です。でも、誰もいない静寂の坊がつるを味わえるのはこの時期だけ。霧氷や樹氷も美しいですよ。
まとめ:さあ、坊がつるテント泊に出かけよう
いかがでしたか?
坊がつるテント泊は、登山経験がそれほど多くない方でも、しっかり準備すれば十分に楽しめる場所です。テントを背負って、自分の足で歩いて、山の真ん中で迎える朝。温泉に入って、星空を眺めて、焚き火はできなくても心は十分に燃え上がる。
ちょっと大げさかもしれませんが、坊がつるでの一泊は、日常をリセットするのにこれ以上ない体験だと僕は思います。SNSで誰かの投稿を見るより、自分の目で見て感じてほしい。そういう場所です。
まずは装備を整えて、天気予報をチェックして、さあ、坊がつるへ。きっと忘れられない山旅になりますよ。
あなたの坊がつるテント泊が、最高の思い出になりますように。

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