アウトドア好きなら一度は憧れる、ヘリノックス チェア。
軽くてコンパクト、なのに座り心地は驚くほど快適。キャンプやフェス、ちょっとした公園遊びまで、手放せない相棒になっている人も多いはず。
でも、長く使っているとふと気づくんですよね。「あれ、フレームの塗装がなんか剥がれてる…」って。
せっかくのカッコいいギアなのに、塗装がボロボロだとテンション下がりますよね。しかもアウトドアで使うものだからこそ、塗装剥がれを放置するとサビの原因にもなりかねない。
そこで今回は、ヘリノックスチェアの塗装剥がれに悩むあなたに向けて、原因から補修方法、そしてちょっとしたカスタムの可能性まで、本音でガッツリ話していきます。
なぜヘリノックスの塗装は剥がれるのか
まずは敵を知ることから。補修をするにしても、原因がわかっていないとまた同じことの繰り返しになるかもしれません。
ヘリノックスのフレームには、主にアルミ合金が使われています。このアルミフレームに粉体塗装という方法で色が乗せられているんですね。粉体塗装は一般的に耐久性が高いと言われていますが、それでも剥がれるときは剥がれます。その理由は大きく分けて3つ。
- 組み立て・収納時の擦れ:ショックコードでパーツを繋ぐ構造上、どうしてもポール同士が接触します。このときの「カチッ」という衝撃と擦れが、塗装の天敵。
- 使用中の物理ダメージ:地面の小石や砂にフレームが当たったり、車への積み下ろしで他のギアと干渉したり。アウトドアでは避けられないダメージです。
- 経年劣化:紫外線や急激な温度変化、結露など、自然環境にさらされることで、塗装とアルミの密着性が徐々に弱まっていきます。
「高い金出したんだから、もっと剥がれにくくしてほしい」という声もわかります。でも、超軽量を実現するための薄いパイプと、機能的な構造を考えれば、ある程度は「味」として付き合っていく覚悟も必要かもしれません。だって、傷ひとつないヘリノックスより、ちょっと年季が入ったやつのほうが、ベテランキャンパーっぽくてちょっと誇らしかったりしません?
剥がれはじめの対処法と予防策
「すでに少し剥がれてきた…」という段階なら、今からでも遅くない対策があります。進行を遅らせて、サビのリスクを最小限に抑えましょう。
日々のメンテナンスで寿命を延ばす
キャンプから帰った後のちょっとした一手間が、実は一番の予防策です。
- やさしく拭き上げる:泥や砂がついたまま収納するのはご法度。乾いた柔らかい布で、ポールを優しく拭いてあげてください。ゴシゴシやると、逆に砂で塗装面を研磨してしまうので要注意。
- 接合部のケア:ポールの継ぎ目は特に塗装が剥がれやすい場所。ここにごく少量のシリコンスプレーを布に染み込ませて拭いておくと、摩擦が軽減されて擦れ傷がつきにくくなります。サラッと拭く程度で大丈夫。ベタベタになるまでつけると、今度は土やホコリを呼び寄せるので逆効果です。
- 収納時の工夫:純正の収納ケースはタイトにできているので、収納時にこすれて塗装が剥がれることも。あまり神経質になる必要はないですが、気になるならポール一本一本をマイクロファイバークロスで軽く包んでからケースに収納するという方法もあります。
「剥がれてきたかも?」という初期症状への対処
点で剥がれた塗装は、放っておくとそこから水分が入り込み、周囲の塗装も浮いてきて範囲が広がります。まるでダムの決壊です。見つけたらすぐに応急処置をしましょう。
本当に小さな点なら、市販のアルミ用タッチアップペンで十分です。ホームセンターや模型店で売っている、ラッカー系の塗料ペンが手軽でおすすめ。ヘリノックスから純正の補修塗料は出ていないので、フレームのカラーに近い色を探してみてください。黒やシルバーなら見つけやすいはず。筆先でチョンチョンと乗せるだけで、かなり目立たなくなります。
完全に色を合わせるのは難しいですが、補修の目的は「見た目の完璧な修復」というより「サビ防止と、進行を食い止めること」。割り切って「これは俺のヘリノックスの勲章だ」くらいに思っておくのが、心の平穏を保つコツです。
本格的に補修するDIY塗装のすすめ
「もう広範囲に剥がれてしまった」「いっそ色を変えて自分だけの一脚を作りたい」そんなフェーズに来たら、DIYでの再塗装に挑戦するタイミングです。ちょっと手間はかかりますが、愛着は格段に増しますよ。
準備するもの
再塗装の成否は、正直「準備」と「下地処理」で8割決まります。必要なものを揃えましょう。
- マスキングテープ(粘着力が弱めのもの)
- 耐水サンドペーパー(#400、#800、#1000くらい)
- 脱脂用シリコンオフリムーバー(パーツクリーナーでも代用可だが、塗装を侵さないか要確認)
- ミッチャクロンマルチ(プラスチック・金属用プライマー)
- お好みのスプレー塗料(アクリルラッカー系が扱いやすい)
- 仕上げ用のクリアスプレー(必須ではないがあると耐久性UP)
下地処理が命
- 分解する:まずはチェアを完全に分解します。シートを取り外し、ショックコードも抜いて、フレーム単体のポールの状態に。コードを抜くときは、抜いたあとに通らなくならないよう、あらかじめ新しいコードを古いコードに結びつけておく「呼び線」を忘れずに。
- 足付け(研磨):これが一番大事で一番面倒な工程です。#400の耐水サンドペーパーで、既存の塗装面全体に細かい傷をつけていきます。塗装を完全に剥がす必要はありません。新しい塗料の食いつきを良くするための「足付け」です。剥がれた部分と無事な部分の段差も、ここでできるだけ滑らかにしておきます。水研ぎすると、サンドペーパーの目詰まりが少なく快適です。
- 脱脂:研磨で出た粉や手の脂分を、シリコンオフリムーバーと清潔なウエスで完全に拭き取ります。ここで油分が残っていると、あとで塗装がブツブツになったり剥がれたりする最大の原因に。素手で触らず、ゴム手袋をして作業するのがベストです。
いざ塗装、そして完成へ
- プライマー(ミッチャクロン)を吹く:脱脂が完了したら、まずはミッチャクロンを薄く全体にスプレーします。これは透明で、「塗料と金属を強力に密着させる糊」の役割。これをやるのとやらないのとでは、仕上がりと耐久性に雲泥の差が出ます。
- 本塗装:プライマーが乾いたら、いよいよ本塗装です。スプレー缶はよく振って、20〜30cm離したところから、「シュッ、シュッ」と何度かに分けて薄く重ね塗りします。一度に厚く塗ろうとすると、涙が垂れたような「液ダレ」の原因に。焦らず、乾いては吹き、を3回くらい繰り返すイメージです。
- クリア仕上げ(任意):色を塗ったあとにクリアを吹くと、ツヤが出て保護力も増します。艶消し(マット)や半艶など、好みの質感を選べるのもDIYの楽しみです。
- 完全乾燥と組み立て:塗装後は、触って指紋がつかなくなるくらいまで気長に乾燥させます。できれば1週間くらいは放置して、塗膜をしっかり硬化させるのが理想。焦って組み立てると、せっかくの塗装がベタついて台無しになるので、ここは我慢です。
やってはいけない注意点とよくある失敗
SNSや動画でみんながやっているからといって、飛びつくと痛い目を見ることもあります。特に注意したいのが「焼き付け塗装」をイメージした加熱です。
絶対に、塗装したフレームを直火やオーブンで加熱しないでください。
ヘリノックスのフレームには熱に弱い樹脂パーツ(ポールエンドのキャップなど)が使われている可能性があり、また熱によるアルミの強度変化や歪みが起きるリスクを完全に否定できません。危険ですし、メーカー保証からも完全に外れます。DIY塗装はあくまで「自然乾燥」が鉄則です。
また、ショックコードを抜くときに勢いよく飛び出させて、先端パーツを破損する事故もよく聞きます。慎重に、ゆっくり扱いましょう。
ヘリノックスの塗装剥がれと、どう付き合っていくか
ここまで色々と対策を書いてきましたが、最後に本音の結論を言います。
ヘリノックスの塗装剥がれは、使い込むほどに、どうしてもある程度は起きてしまうものです。それを「欠陥」と見るか、「味」と見るかは、あなた次第。
もちろん、サビを防ぐための最低限のケアは愛用品への礼儀です。でも、完璧な状態を保とうとビクビクしながら使うより、傷が増えるたびに一緒に過ごしたキャンプの思い出を語れる相棒に育てていくほうが、何倍も楽しいと私は思います。
それでもやっぱり気になるなら、今回紹介したDIY塗装に挑戦してみてください。失敗を恐れずに手を動かせば、世界にひとつだけのヘリノックスが、あなたのアウトドアライフをもっと特別なものにしてくれる。そう信じています。

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