パタゴニアの古着をディグっているとき、ふと違和感を覚えたことはありませんか?「あれ、いつも見ているロゴの山に、白い雪が積もっていない……」と。
実はそれ、通称**「雪なしタグ」**と呼ばれる、ヴィンテージ市場で密かに、かつ熱狂的に支持されている激レア個体なんです。
一見すると「これってエラー品?」「もしかして偽物?」と不安になるかもしれませんが、ご安心ください。これこそが90年代前半のわずかな期間にのみ作られた、パタゴニア史における「ミッシングリンク」とも呼べる貴重な証なのです。
今回は、パタゴニアの雪なしタグがなぜ生まれたのか、その正確な年代の見分け方から、市場での資産価値、そして気になる真贋の見極め方まで、徹底的に深掘りしていきます。
雪なしタグとは何か?山の頂から雪が消えた理由
パタゴニアのブランドロゴといえば、南米パタゴニア地方の聖地「フィッツロイ山群」をモチーフにした、あの美しいスカイラインがお馴染みですよね。通常、その山の稜線には険しい雪山を象徴する「白いライン」が描かれています。
しかし、1992年から1994年頃にかけて生産された製品には、この白い刺繍やプリントが一切なく、背景の空の色(青や紫)で塗りつぶされたようなデザインが存在します。これが古着ファンの間で**「雪なしタグ」**と呼ばれている正体です。
なぜ、パタゴニアはあえて象徴である雪を消したのでしょうか?
有力な説として語り継がれているのが、当時の**「コピー品対策」**です。90年代初頭、アウトドアブームの加速とともに、アジア圏を中心に精巧な偽物が市場に溢れかえりました。そこでパタゴニアは、ロゴのデザインをあえて微細に変更することで、コピー業者を混乱させ、正規品との差別化を図ろうとしたといわれています。
いわば、ブランドを守るための「隠しコマンド」のような存在。そう考えると、雪のないシンプルなロゴが、よりいっそう特別なものに見えてきませんか?
雪なしタグの正確な年代判別!1992年〜1994年の魔法
「雪なしタグ」が採用されていた期間は、パタゴニアの長い歴史の中でも極めて短く、一般的には1992年、1993年、1994年の約3年間とされています。
この時期のパタゴニアは、今や伝説となっている名作を次々と世に送り出していた黄金期です。では、具体的にどうやって年代を特定すればよいのか、その手順を解説します。
内タグの「アルファベットと数字」をチェック
首元のブランドタグが「雪なし」であることを確認したら、次に注目すべきは服の内側(脇の下や裾付近)にある、小さな白い素材表示タグです。
ここには、製造年を示すコードが印字されています。
- S2、S3、S4:SはSpring(春)を指し、数字は西暦の末尾です。つまり1992年〜1994年の春モデル。
- F2、F3、F4:FはFall(秋)を指し、1992年〜1994年の秋・冬モデル。
もしあなたが持っている パタゴニア スナップT の内タグに「F3」とあれば、それは1993年秋に作られた正真正銘の雪なしモデルということになります。
レジスターマークの変化も見逃せない
雪なしタグのもう一つの特徴が、ロゴ右下の商標登録マークです。通常のタグには「®(レジスターマーク)」がはっきりと入っていますが、雪なしタグの時期は、この「®」が非常に小さな「・(ドット)」のように見える、通称**「ドットタグ」**仕様になっていることが多いのです。
これは、後の「®」表記がなくなる現行ロゴへと移行していく過渡期のデザイン。雪がないだけでなく、この小さな点の有無まで確認するのが通の楽しみ方です。
なぜ高い?雪なしタグが激レア古着として重宝される理由
古着屋で「雪なしタグ」のプライスタグを見ると、同じモデルの他年代よりも数段高い金額設定に驚くことがあるかもしれません。なぜこれほどまでに価値があるのでしょうか。
圧倒的な現存数の少なさ
単純計算で、30年以上の歴史があるパタゴニアにおいて、わずか3年分しか存在しないデザインです。当然、市場に出回る数は限られます。コレクターにとっては、この「短期間のみのイレギュラー」という事実だけで、所有欲を刺激されるのです。
90年代特有の「美色」パレット
雪なしタグ期は、パタゴニアのカラーリングが最も冴え渡っていた時期とも重なります。
- ブライトパープル
- フレンチレッド
- ハンターグリーン
- コバルトブルー
現代の落ち着いたアースカラーとは一線を画す、パキッとした発色の良さは、当時の パタゴニア フリース ならではの魅力。特にシンチラ素材の毛足の質感も、この時期のものは肉厚で光沢があり、現行品とは異なるヴィンテージ特有のオーラを放っています。
偽物と本物の見分け方。雪なしは「バッタもん」ではない!
「雪なし」という言葉だけを聞くと、プリントミスや安価な偽物をイメージしてしまう人もいるでしょう。しかし、本物の雪なしタグには、正規の製品だからこその「作りの良さ」が宿っています。
刺繍の密度と文字の形状
本物の雪なしタグは、たとえ雪がなくても、ブランド名の「patagonia」の刺繍は非常に緻密です。文字がガタガタだったり、隣の文字と糸が不自然に繋がっていたり(糸の渡り)、文字の太さがバラバラなものは、当時のコピー品の可能性を疑うべきです。
パーツの整合性
90年代前半のパタゴニア製品には、信頼のYKK製ジッパーが多用されています。また、スナップボタンの刻印や、プラスチックパーツの成形精度もチェックポイント。雪なしタグがついているのに、ジッパーが安っぽいノーブランド品だったり、縫製が極端に荒い場合は注意が必要です。
経年変化の具合
30年以上前のヴィンテージですので、新品同様にピカピカすぎるものは逆に怪しいといえます。適度なフリース毛玉や、ナイロンの絶妙なヤレ感。そうした「時代をくぐり抜けてきた質感」があるかどうかも、真贋を見極める五感のセンサーになります。
雪なしタグ期の名作アイテムたち
もし古着屋で雪なしタグを見つけたら、即座に確保すべき名作モデルを紹介します。
シンチラ・スナップT
パタゴニアの代名詞。雪なしタグのスナップTは、特にネック部分のパイピングカラーとの配色が絶妙なものが多く、一着で主役級の存在感があります。
レトロX・ジャケット
1993年に誕生した初期型 パタゴニア レトロX にも、実は雪なしタグが存在します。初期型特有の厚手のパイル地と、雪なしロゴの組み合わせは、マニアの間では家宝レベルの扱いを受けることもあります。
スーパー・プルマ・ジャケット
当時の技術の粋を集めた高機能シェル。この年代のシェルは、内側のコーティングが加水分解して剥がれているものも多いですが、それでも「雪なしのシェル」というだけで、資料的価値も含めて高値で取引されます。
まとめ:パタゴニア「雪なしタグ」の年代と見分け方をマスターしよう
パタゴニアの歴史において、わずか数年間の徒花(あだばな)として咲いた「雪なしタグ」。
それは単なるデザインの変更ではなく、ブランドがコピー品という荒波と戦っていた時代の象徴であり、古き良きパタゴニアのクオリティを今に伝える貴重なタイムカプセルでもあります。
- 1992年〜1994年の3年間限定
- 山の雪が消え、®マークがドットになっている
- 内タグの「S2〜F4」コードで年代を特定できる
- コピー品対策として生まれた説が有力
この知識を持って古着屋のラックを眺めれば、今まで見落としていた一着が、特別な宝物に見えてくるはずです。
もし、クローゼットに眠っている古いパタゴニアがあれば、今すぐロゴの山をチェックしてみてください。もしそこに雪が積もっていなければ……それは、あなたが思っている以上に価値のある、歴史的な一着かもしれませんよ。
最後になりますが、パタゴニア「雪なしタグ」の年代と見分け方をマスターして、より深いヴィンテージライフを楽しんでくださいね!

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