「パタゴニアのウェアで全身固めているけれど、足元だけが決まらない」「昔あったパタゴニアの登山靴をもう一度手に入れたい」
そんな悩みを持つアウトドアファンは少なくありません。環境への配慮と機能性を両立したパタゴニアの世界観に惚れ込むと、靴までその哲学で統一したくなるのは当然の心理ですよね。
しかし、いざショップや公式サイトを探しても、私たちがイメージする「登山靴(ハイキングブーツ)」は見当たりません。果たしてパタゴニアの登山靴は現在どうなっているのか、そしてファンが選ぶべき次の一足は何なのか。最新の状況を深掘りして解説します。
パタゴニアの登山靴が店頭から消えた理由
結論からお伝えすると、2026年現在、パタゴニアは自社ブランドとしての一般的な登山靴やハイキングシューズの製造・販売を終了しています。
かつては「P26」や「リリーズ」といった名作シューズを展開し、多くのハイカーに愛用されていました。しかし、2014年頃を境にフットウェアラインの大半を終了するという大きな決断を下したのです。
この背景には、パタゴニアが掲げる「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」というミッションが深く関わっています。靴の製造は接着剤やゴムの複合素材など、リサイクルや修理が極めて難しい工程が多く含まれます。納得のいく環境負荷の低さと、過酷な山岳地帯に耐えうる耐久性を高い次元で両立させることが、当時の基準では困難だったという見方が有力です。
現在は、特定のスポーツに特化した「ウェーディング・ブーツ(フィッシング用)」を除き、山を歩くためのブーツはラインナップから姿を消しています。
現在販売されている「ブーツ」の正体
公式サイトを覗くと、今でも「ブーツ」という名称の製品が並んでいることがあります。しかし、これらを登山に流用しようと考えている方は注意が必要です。
現在販売されているモデルの多くは、フライフィッシング用の「ウェーディング・ブーツ」です。パタゴニア フットトラクターなどがその代表例です。これらは川の中の苔むした岩場を歩くために設計されており、ソールにフェルトが貼られていたり、アルミのバーが埋め込まれていたりします。
これらは水中でのグリップ力は最強ですが、乾いた土の急斜面や岩稜帯を歩く登山道では、逆に滑りやすく非常に危険です。パタゴニア製だからといって、フィッシング用を登山に転用するのは絶対に避けましょう。
過去の名作を中古で探す際の「致命的なリスク」
「どうしてもパタゴニアのロゴが入った登山靴が欲しい」と、オークションサイトやフリマアプリで旧モデルを探す方もいるでしょう。しかし、ここには登山靴特有の恐ろしい罠が潜んでいます。
それが「加水分解」です。登山靴のソールに使われるポリウレタンなどの素材は、製造から時間が経過すると、使用頻度に関わらず空気中の水分と反応してボロボロに崩れてしまいます。
パタゴニアが登山靴の展開を止めてからかなりの年月が経過しているため、現在市場に出回っているヴィンテージ品や中古品は、見た目が綺麗でもソールが剥離する寸前である可能性が極めて高いのです。山行中にソールが剥がれれば遭難のリスクに直結します。観賞用ならともかく、実戦用としての購入はおすすめできません。
パタゴニアファンにこそ選んでほしい代替ブランド3選
パタゴニアの登山靴が手に入らない今、私たちはどの靴を履くべきでしょうか。パタゴニアの哲学である「修理して長く使う」「環境負荷を抑える」「ストーリーのある道具」という価値観に共鳴するブランドを厳選しました。
1. Danner(ダナー)
パタゴニアとかつて共同開発を行っていたのがダナー マウンテンライトで知られるダナーです。アメリカのポートランドに拠点を置くこのブランドは、パタゴニアと同じく「修理して履き続ける」文化を大切にしています。
ステッチダウン製法で作られたブーツはソール交換が容易で、20年、30年と履き込むことができます。パタゴニアの質実剛健なアパレルともデザインの相性が抜群です。
2. SCARPA(スカルパ)
実はパタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード氏が、かつて自身のビジネスにおいてイタリアから輸入販売していたのがスカルパの靴でした。
ブランドの歴史的な繋がりはもちろん、職人気質の靴作りは今も健在です。テクニカルな岩場からゆるやかなハイキングまで、パタゴニアのウェアがカバーする全領域において、最も信頼できる足元のパートナーと言えるでしょう。
3. LOWA(ローバー)
環境大国ドイツを代表するブランドローバー レネゲードは、サステナビリティへの取り組みにおいてパタゴニアと非常に近いスタンスを持っています。
厳格な欧州の環境基準をクリアした素材選び、そして自社工場での徹底した品質管理。さらに、どんな足型にもフィットする設計の素晴らしさは、一度履くと浮気ができないと言われるほどです。
道具を愛するということ:修理とメンテナンス
パタゴニアが登山靴の製造を止めた理由の一つに「修理の難しさ」があったとすれば、私たちが代替モデルを選ぶ際に最も重視すべきは「ソール交換ができるか」という点です。
使い捨てのトレランシューズも軽快で素晴らしいですが、パタゴニアのシンチラ・スナップTを10年着続けるように、足元もまたコロニル 馬毛ブラシで手入れをし、ボロボロになったソールを張り替えて使い続ける。これこそが、パタゴニアが私たちに伝えてきた「責任ある消費」の姿ではないでしょうか。
お気に入りの一足を見つけたら、まずはしっかりとワックスや防水スプレーで保護してください。そうすることで、革は馴染み、あなただけの形に育っていきます。
パタゴニアの登山靴は復活した?現在の販売状況とおすすめの代替モデルを徹底解説!:まとめ
現状、パタゴニアから新しい登山靴が発売される兆しはありません。しかし、それはパタゴニアが「中途半端なものは作らない」という姿勢を貫いている証拠でもあります。
私たちが今できることは、パタゴニアのウェアに恥じない、哲学を持った他ブランドの優れた靴を選び、それをボロボロになるまで使い倒すことです。
ダナーやスカルパ、ローバーといった信頼できるブランドの靴を履き、パタゴニアのジャケットを羽織って山へ向かう。ロゴは違えど、その根底にある「自然を愛し、道具を大切にする心」は共通しています。
この記事が、あなたの足元を支える最高の一足との出会いになれば幸いです。

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