「ビジネスを営む目的は、地球を救うこと」
そんな驚くべきミッションを掲げ、世界中で熱狂的なファンを持つアウトドアブランド、パタゴニア。その日本拠点である「パタゴニア日本支社」が、単なる海外ブランドの窓口にとどまらず、日本のビジネスシーンや環境活動においてどれほど特異で、かつ先駆的な存在であるかをご存知でしょうか。
「製品は最高だけど、会社の中身はどうなっているの?」「採用のハードルが高いって本当?」「本当に社員がサーフィンに行っているの?」
今回は、そんなパタゴニア日本支社の実態に迫ります。公式サイトや公開情報だけでは見えてこない、彼らの情熱と独自のシステムを紐解いていきましょう。
パタゴニア日本支社が横浜・東戸塚にある理由
パタゴニア日本支社は、1988年に設立されました。かつては古都・鎌倉に拠点を置いていた時期もありましたが、現在は神奈川県横浜市の東戸塚にオフィスを構えています。
なぜ、都心のきらびやかなビル街ではなく、少し落ち着いた住宅街や自然に近いエリアを選んでいるのでしょうか。そこには「フィールドに近いこと」や「社員の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)」を優先する、ブランド独自のこだわりが反映されています。
日本支社は、単に製品を輸入して販売する組織ではありません。日本の厳しい気候や山岳地形に合わせた製品のフィードバック、日本独自の環境問題に対するアクション、そして国内20店舗以上の直営店を統括する、非常に重要な役割を担っています。
彼らにとってオフィスは単なる作業場ではなく、地球を救うための「作戦会議室」なのです。
「社員をサーフィンに行かせよう」は日本でも本物か
パタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードの著書として有名な『社員をサーフィンに行かせよう』。この哲学は、日本支社でも形骸化することなく息づいています。
良い波が来たら、仕事は後回しでいい
これは単なるキャッチコピーではありません。パタゴニアでは、アウトドアを愛する情熱が仕事の質を高めると信じられています。例えば、波が良い日やパウダースノーが降った日に、社員がフィールドへ出ることを会社が推奨しているのです。
「責任を果たしている限り、勤務時間は柔軟でいい」という信頼関係に基づいた働き方は、日本の一般的な企業文化とは一線を画しています。
自社製品の「最高のテスター」であること
社員が海や山へ行くのは、遊びのためだけではありません。自分たちが販売する パタゴニア ジャケット やバックパックを極限の環境で使い込み、その耐久性や機能を肌で感じるためでもあります。
フィールドでの経験があるからこそ、顧客に対して嘘のないアドバイスができ、製品の改善点を本国に伝えることができる。このサイクルが、パタゴニア製品の圧倒的な信頼性を支えているのです。
パタゴニア日本支社の採用が「最難関」と言われる理由
「パタゴニアで働きたい」と願う人は後を絶ちません。しかし、その門戸は決して広くはなく、採用プロセスは非常にユニークで厳しいことで知られています。
スキルよりも「ミッションへの共感」
一般的な企業であれば、これまでの実績やスキルが最優先されます。しかしパタゴニア日本支社の採用で最も重視されるのは、「地球を救うためにビジネスを営む」というミッションに対して、どれだけ本気でコミットできるかという点です。
面接では、これまでのアウトドア経験はもちろんのこと、環境問題に対してどのようなアクションを起こしてきたか、どのような価値観を持って生きているかが深く問われます。
アクティビストとしての素養
パタゴニアは、社員に「アクティビスト(活動家)」であることを求めます。単に服を売るのが上手い人ではなく、社会の仕組みをより良くするために声を上げ、行動できる人を求めているのです。
そのため、中途採用であっても新卒に近いマインドセットであっても、「なぜパタゴニアなのか?」という問いに対して、自分自身の言葉で語れる強い意志が必要となります。
日本独自の環境保護活動と「1% for the Planet」
パタゴニア日本支社が他のアパレル企業と決定的に違うのは、利益の使い道です。彼らは売上の1%を、審査を経た草の根の環境保護団体に寄付しています。
日本の自然を守るアクション
日本支社は、国内のダム問題、森林保護、生物多様性の維持など、日本特有の課題に取り組む団体を長年支援してきました。特筆すべきは、単に資金を提供するだけでなく、社員自らがボランティアとして現場に赴き、汗を流す点です。
「1% for the Planet」の広がり
この活動はパタゴニアだけで完結するものではありません。環境に配慮したビジネスを目指す他企業とネットワークを作り、日本全体で環境保護の輪を広げるプラットフォームのような役割も果たしています。
消費者が パタゴニア Tシャツ を一枚購入するたびに、その一部が確実に日本の山や川を守る活動に充てられる。この透明性の高い仕組みこそが、パタゴニアが信頼される理由です。
「新品を買わないで」というメッセージの裏側
かつてパタゴニアは「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」という衝撃的な広告を出しました。消費を煽るのが一般的なアパレル業界において、なぜこのようなメッセージを発信し続けるのでしょうか。
Worn Wear:長く着ることの美学
日本支社でも、この「Worn Wear(着古された服)」というプログラムに力を入れています。
「新しいものを売るよりも、今持っているものを修理して長く着てほしい」
その思いから、日本支社内には専門のリペア(修理)部門が存在します。ボロボロになった パタゴニア フリース が、熟練の職人の手によって再び息を吹き返し、ユーザーのもとへ戻っていく。この「修理して使い続ける文化」を日本に根付かせた功績は計り知れません。
循環型経済への挑戦
リサイクル素材の使用はもちろんのこと、最近では中古品の販売や、製品の回収・再資源化にも積極的に取り組んでいます。パタゴニア日本支社は、売れば売るほど環境負荷が増えるというアパレルの矛盾に対し、ビジネスの仕組みそのものを変えることで挑んでいるのです。
パタゴニア プロビジョンズ:食から地球を救う
近年、パタゴニア日本支社が特に注力しているのが「食」の分野、パタゴニア プロビジョンズです。
なぜアウトドアブランドが食品を売るのか。それは、環境破壊の最大の要因の一つが、現在の工業化された農業や漁業にあると考えているからです。
環境再生型農業の推進
土壌を修復し、二酸化炭素を隔離する「環境再生型(リジェネラティブ)」な方法で作られた パタゴニア スープ やビール、オーガニックの加工食品。これらを日本市場で展開することで、消費者の食に対する意識を変えようとしています。
日本の伝統的な農法や、小規模な生産者と協力しながら、美味しいだけでなく地球を健康にする食のあり方を提案しています。
日本支社が目指す「これからの企業の形」
パタゴニア日本支社の取り組みを見ていると、私たちが抱いている「会社」という概念が覆されます。
彼らにとって、利益は目的ではなく、ミッションを達成するための「手段」です。十分な利益が出なければ環境活動を継続できない。だからこそ、最高の製品を作り、持続可能なビジネスを追求する。
この一貫した姿勢は、SDGsという言葉が普及するずっと前から変わっていません。流行に左右されず、自分たちの信じる道を突き進むパタゴニア日本支社の姿は、現代の日本企業にとって大きなヒントに満ちています。
パタゴニア日本支社の凄さとは?採用・環境活動・独自の働き方を徹底解説:まとめ
パタゴニア日本支社について深く掘り下げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
横浜のオフィスから発信されるメッセージ、フィールドを愛する社員たちの働き方、そして一着の服から始まる環境へのアクション。そのすべてが「地球を救う」という一つの目的に向かって統合されています。
私たちが パタゴニア 帽子 やウェアを身につけるとき、それは単なるファッションを選んでいるのではなく、パタゴニアが提唱する「未来への選択」に参加していると言えるかもしれません。
もし、パタゴニアの製品を手に取る機会があれば、ぜひその裏側にある日本支社のスタッフたちの情熱を思い出してみてください。そして、直営店に足を運び、スタッフの方々と自然や環境について言葉を交わしてみてはいかがでしょうか。
そこには、ただの買い物以上の体験と、私たちがこれからどう生きていくべきかという、小さな答えが待っているはずです。

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