「パタゴニアの服って、リサイクル素材を使っているから環境にいいんだよね」
そんな風に思っている方は多いはず。でも、実はパタゴニアが取り組んでいる「リサイクル」の本質は、単にゴミを再利用して新しい服を作るだけではありません。そこには、私たちが想像する以上に深く、そして少し泥臭いほどの「地球への執着」が詰まっています。
なぜパタゴニアのリサイクル製品は、他ブランドとは一線を画す信頼を得ているのか。その裏側にある驚きの技術から、私たちが今すぐ参加できる回収・修理の仕組みまで、その全貌を解き明かしていきます。
1. 1993年、すべては一本のペットボトルから始まった
パタゴニアのリサイクル神話を語る上で外せないのが、1993年の出来事です。今でこそ当たり前になった「ペットボトルからフリースを作る」という手法を、アウトドア業界で初めて導入したのがパタゴニアでした。
当時、廃棄されたプラスチックを衣類に再生するのは、技術的にもコスト的にも至難の業。それでも彼らが踏み切ったのは、自分たちが製品を作る際に出す環境負荷を、少しでも減らしたいという切実な願いからでした。
現在、パタゴニア製品に使用される素材の約9割近くがリサイクル原料に置き換わっています。ポリエステルだけでなく、ナイロン、ダウン、ウールに至るまで、その進化は止まりません。
特に注目すべきは、パタゴニア フリースなどの定番アイテムです。これらはリサイクル素材でありながら、極寒の山岳地帯でも耐えうる保温性と、何年も着続けられる耐久性を両立しています。「リサイクル=質が落ちる」という当時の常識を、彼らは製品のクオリティで覆したのです。
2. 海を救う「ネットプラス」という魔法
最近のパタゴニア製品のタグでよく目にする「NetPlus(ネットプラス)」という文字。これこそが、今もっとも熱いリサイクル技術の一つです。
原料は、南米の海岸に捨てられた「古い漁網」。海に流出した漁網は、魚やウミガメが絡まる「ゴーストフィッシング」の原因となり、海洋生態系に甚大な被害を与えます。パタゴニアはBureo社と提携し、この厄介者を高品質なナイロンへと生まれ変わらせました。
回収された漁網は洗浄され、細かく砕かれ、再び強靭な糸になります。これがパタゴニア バギーズショーツや帽子のつば(ブリム)として形を変え、私たちの手元に届くのです。
単にゴミを減らすだけでなく、回収作業を通じて現地の漁業コミュニティに雇用を生み出す。この「環境と経済の両立」こそが、パタゴニアがリーダーと呼ばれる所以です。
3. 「リサイクル」よりも大切なのは「直して着ること」
ここで一つ、意外な事実をお伝えします。パタゴニアは、リサイクルを「最終手段」だと考えています。
彼らが最も推奨しているのは、リサイクルに回す前に「できるだけ長く着ること」です。なぜなら、どれだけ効率的にリサイクルしたとしても、輸送や加工の段階でエネルギーを消費し、CO2を排出してしまうからです。
そこで登場するのが「Worn Wear(ウォーン・ウェア)」というプログラムです。
- 修理(リペア): 破れたダウン、壊れたジッパー。パタゴニアはこれらを捨てろとは言いません。日本国内のリペアセンターでは、専門の職人が驚くような技術で服を蘇らせます。
- DIYの推奨: 自分で直せるように、公式ウェブサイトで修理ガイドを公開しています。「自分の手で直した跡」こそが、その服との思い出であり、誇りであるという文化を発信しているのです。
パタゴニア ジャケットにパッチを当てて使い続ける姿は、今やアウトドア愛好家の間で「最もクールなスタイル」として定着しています。
4. 役目を終えた製品をどう戻す?回収の仕組み
どうしても修理できなくなった時、あるいはサイズが合わなくなって着られなくなった時。パタゴニアには、製品を循環させるための出口が用意されています。
店舗への持ち込み
全国のパタゴニア直営店には、回収ボックスが設置されています。パタゴニア製品であれば、インナーからアウターまで回収の対象です(※一部対象外あり)。
Worn Wearでの下取り
まだ着られる状態の製品であれば、下取りに出すことで、次にパタゴニア製品を購入する際に使えるクレジット(ポイント)を受け取ることができます。あなたが大切に着た一着が、また誰かの相棒として山へ向かう。この循環こそが、真のサステナビリティです。
ただし、ここで知っておきたい現実もあります。パタゴニアは「回収した服のすべてがすぐに新品に生まれ変わるわけではない」と正直に公表しています。複数の素材が混ざった複雑なウェアは、現在の技術では分解が難しいためです。
彼らはその課題を隠すのではなく、将来の技術革新のために保管し、同時に「リサイクルしやすい設計」への切り替えを急いでいます。この誠実な姿勢が、ファンを惹きつけてやまない理由なのです。
5. 私たちができる「賢い選択」とは
「パタゴニアの製品は高い」と感じることもあるでしょう。しかし、その価格には、地球を守るための研究開発費、公正な労働環境への対価、そして「一生モノとしてサポートする」という約束が含まれています。
私たちがパタゴニア リュックを一つ選ぶとき、それは単なる買い物ではなく、地球の未来に一票を投じる行為に他なりません。
- まずは、今持っている服を大切に着る。
- 壊れたら、捨てずに直してみる。
- どうしても必要なら、リサイクル素材で作られた高品質なものを選ぶ。
- 使い切ったら、パタゴニアの回収ルートへ戻す。
このシンプルなサイクルを繰り返すだけで、私たちは大きな変化の一部になれるのです。
6. まとめ:パタゴニアのリサイクルはなぜ凄い?素材の秘密や製品回収・修理の仕組みを徹底解説!
パタゴニアが目指しているのは、単に「環境に優しい素材を使うこと」ではありません。ビジネスを通じて、壊れてしまった地球を修復することです。
ペットボトルから始まった挑戦は、今や海洋プラスチックの削減、古着の再販、そして「直して使う文化」の醸成へと広がりました。リサイクルポリエステルやネットプラスといった革新的な素材は、その大きなビジョンを実現するための強力な武器に過ぎません。
私たちがパタゴニアの製品を手に取ることは、その壮大な物語に参加することを意味します。次に新しいウェアが必要になったときは、ぜひその裏側にある「リサイクル」と「責任」のストーリーを思い出してみてください。
あなたが選ぶその一着が、10年後も誰かの背中を守り、そしていつか新しい命へとリサイクルされる。そんな未来を、パタゴニアと一緒に作っていきませんか。

コメント