ヴィンテージのパタゴニア好きの間で、ここ数年「幻の一着」として名前が挙がることが急激に増えたモデルがあります。それがパタゴニアの「コルディエラ」です。
現行のラインナップにはない、圧倒的な肉厚感とクラシックな佇まい。一見するとワークウェアのようでありながら、袖を通せばパタゴニアらしい極上の暖かさに包まれる。そんな唯一無二の魅力を持つコルディエラについて、なぜ今これほどまでに熱狂的な支持を集めているのか、その正体を深く掘り下げていきましょう。
2000年代中盤にのみ存在した「異端の名作」
パタゴニアといえば、レトロXに代表されるフリースや、ダスパーカのようなハイテクな中綿ジャケットを思い浮かべる方が多いはずです。しかし、2004年から2006年頃のわずかな期間、パタゴニアは「天然素材」の持つ力強さにフォーカスした名作を世に送り出していました。それがコルディエラシリーズです。
コルディエラの最大の特徴は、なんといってもその表地に使用されている「太畝(ふとうね)コーデュロイ」にあります。近年の薄手で柔らかなコーデュロイとは一線を画す、ガシッとした手触りのタフなコットン素材。これに、裏地として毛足の長いボアやフリースを組み合わせることで、ダウンジャケットにも引けを取らない防寒性能を実現しました。
当時は「重すぎる」「オーバースペック」という声もありましたが、時を経て「本物志向」の古着ファンに見つかり、今やパタゴニアの歴史を語る上で欠かせない存在となっています。
コルディエラ・パーカーとジャケットの違い
コルディエラには、大きく分けて2つの形が存在します。
まず、最も人気が高く、市場で高値がついているのが「コルディエラ・パーカー」です。腰まで隠れるミドル丈で、大きなフードがついたコートスタイルのモデルです。裏地には全面にボアが敷き詰められており、重量感はありますが、その分「これさえあれば冬は越せる」という安心感が抜群です。フロントのボタンやフラップ付きのポケットなど、ミリタリーやワークの要素が強く出ているのが特徴です。
対して、より軽快に羽織れるのが「コルディエラ・ジャケット」です。こちらはフードがなく、襟付きのブルゾンタイプ。スイングトップのようなシルエットで、デニムやチノパンとの相性が非常に良く、街着としての汎用性はパーカー以上かもしれません。裏地もしっかりと保温材が入っていますが、パーカーに比べればボリュームが抑えられているため、秋口から春先まで長く活躍してくれます。
どちらのモデルにも共通しているのは、胸元に控えめに配されたパタゴニアのロゴタグ。これが、武骨なコーデュロイ生地の中で絶妙なアクセントになっています。
圧倒的な希少価値と「高騰」し続ける中古相場
もし今、あなたが古着屋やフリマアプリでコルディエラを探そうとしたら、その価格に驚くかもしれません。特にパーカータイプの場合、状態が良いものは15万円から、希少なカラーやサイズになれば20万円を超えるプライスがつくことも珍しくありません。
これほどまでに価格が高騰している理由は、単純に「数が少なすぎる」からです。製造期間が3年足らずと短かったことに加え、当時の日本での流通量も決して多くはありませんでした。さらに、ここ数年の「ヴィンテージ・パタゴニア」ブームが拍車をかけ、コレクターが手放さないため、市場に出回る機会自体が極端に減っています。
また、ヨーロッパ企画のカラーなど、特定の地域でしか販売されなかった個体も存在します。こうした「探しても見つからない」という希少性が、所有欲を刺激し、相場を押し上げ続けているのです。
失敗しないためのサイズ感と選び方
高価な買い物になるからこそ、サイズ選びには慎重になりたいところです。パタゴニアのヴィンテージ全般に言えることですが、コルディエラは「USサイズ」かつ「リラックス・フィット」で作られています。
普段、日本のセレクトショップなどでLサイズを選んでいる方なら、コルディエラはSサイズ、あるいはMサイズで十分にゆとりを持って着られるはずです。
- Sサイズ:日本サイズでM〜L相当。170cm前後の方なら、少しゆったりした今っぽいシルエットで着用できます。
- Mサイズ:日本サイズでL〜XL相当。175cm以上の方や、がっしりした体型の方に適しています。
- Lサイズ以上:かなり大きいです。180cm以上の高身長でなければ、着丈や袖丈が余ってしまう可能性が高いので注意が必要です。
また、選ぶ際のチェックポイントとして「コーデュロイの摩耗」は必ず確認しましょう。特に肘や袖口、肩などは畝(うね)が潰れやすく、色が抜けて白っぽくなっていることがあります。それも「味」ではありますが、あまりに生地が薄くなっていると耐久性に不安が残ります。内側のボアの潰れ具合と合わせて、コンディションを見極めることが重要です。
現代のスタイルにこそ馴染む、コルディエラの魅力
今のファッションシーンは、機能一辺倒なテックウェアから、少し温かみのあるクラシックな装いへと回帰しています。そんな中で、コルディエラの持つ「重厚な天然素材」と「パタゴニアの哲学」が融合した雰囲気は、まさに今の気分にぴったりです。
重い、かさばる、手入れに気を使う。そんな、便利さとは逆行するような要素こそが、このジャケットを愛おしくさせる理由です。着込むほどに自分の体に馴染み、数年後にはさらに深い表情を見せてくれる。使い捨てではない、一生物の相棒を探している方にこそ、コルディエラは最適な選択肢と言えるでしょう。
パタゴニアのコルディエラとは?サイズ感や希少価値、中古相場まで徹底解説!
最後に改めてまとめると、パタゴニアのコルディエラは、単なる古い服ではなく、ブランドが一時的に見せた「無骨なこだわり」が結晶したアートピースのような存在です。
中古相場は確かに高騰していますが、その価値は今後さらに高まることはあっても、大きく下がることは考えにくいでしょう。もし運良く自分のサイズに合う一着に出会えたなら、それは運命かもしれません。
タフなコーデュロイ、温かいボア、そしてパタゴニアの歴史。そのすべてを纏うことができるコルディエラは、あなたの冬のワードローブを格上げしてくれる最高のピースになるはずです。ぜひパタゴニアの名作に触れ、その圧倒的な存在感を体感してみてください。
これから手に入れようと考えている方は、サイズ表記だけでなく、実寸をしっかり確認することをお忘れなく。あなたにとって最高の一着が見つかることを願っています。

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