「あのドラマで着ていたフリース、どこのブランドだろう?」
かつて日本中の若者がテレビ画面に釘付けになり、一人の俳優の着こなしに憧れ、ショップへ走った時代がありました。その中心にいたのが、木村拓哉氏であり、彼が愛用したパタゴニアでした。
アウトドアブランドとしての確固たる地位を築いていたパタゴニアが、街着としての「最強のファッションアイテム」へと昇華した瞬間です。今回は、今なお語り継がれるパタゴニアのキムタク着用モデルから、現代でも手に入る名作、そして失敗しないサイズ選びまで、その魅力を徹底的に深掘りします。
伝説の始まり。ドラマ『Beautiful Life』とスナップTの衝撃
木村拓哉氏とパタゴニアの密接な関係を語る上で、2000年に放送された伝説的ドラマ『Beautiful Life 〜ふたりでいた日々〜』は絶対に外せません。彼が演じた美容師・沖島柊二のファッションは、当時のストリートシーンに計り知れない影響を与えました。
特に注目を集めたのが、シンチラ・スナップTです。
語り継がれる「テウェルチェ」柄の魔力
ドラマ内で着用されたのは、1990年代中盤に展開されていた「テウェルチェ(Tehuelche)」と呼ばれる総柄のモデルでした。ネイティブ柄のような独特のデザインは、それまでの「アウトドアウェア=地味」という概念を覆し、アメカジスタイルの主役に躍り出ました。
このモデルの最大の特徴は、通称「雪なしタグ」と呼ばれる、ロゴに雪の線が入っていない希少なヴィンテージであることです。現在、古着市場でこの柄を見つけるのは至難の業であり、もし見つかったとしても驚くようなプレミア価格で取引されています。
なぜスナップTだったのか
当時の木村氏が選んだのは、ジャストサイズよりも少しゆとりのあるボックスシルエットでした。首元のスナップボタンをあえて少し開け、インナーのTシャツを覗かせる。そんな「抜け感」のある着こなしが、パタゴニアを単なる防寒着から「スタイルを作る道具」へと変えたのです。
令和の今、再び脚光を浴びるクラシック・レトロX・ジャケット
ドラマ放映から20年以上が経過した今、再び「パタゴニア×キムタク」の組み合わせがSNSを中心に大きな話題となりました。そこで主役となったのが、レトロX・ジャケットです。
Instagramで公開された「私物」の破壊力
木村氏が自身のSNSやメディアのオフショットで着用したことで、人気が爆発的に再燃したのが「ナチュラル」カラーのレトロXです。生成りのボアフリースに、胸ポケットのネイビーやブルーが映えるこのモデルは、パタゴニアの代名詞とも言える存在。
彼が着用すると、なぜこれほどまでに格好いいのか。それは、徹底した「自然体」にあります。キメすぎず、デニムやワークパンツにさらっと羽織る。その飾らないスタイルが、現代のファッショニスタたちの心をも掴みました。
レトロXが持つ圧倒的なスペック
見た目のおしゃれさだけでなく、機能性が伴っているのがパタゴニアの凄さです。
- 防風バリヤー: フリース特有の「風を通す」弱点を、内側に防風フィルムを貼ることで克服。
- 吸湿発散性: 蒸れにくく、常に快適な衣服内環境をキープ。
- 耐久性: 親子二代で着られると言われるほどのタフな作り。
木村氏が愛用する理由は、単なる見た目だけではなく、過酷なロケやプライベートのサーフィン、釣りに耐えうる「本物の道具」としての信頼があるからだと言えるでしょう。
希少性No.1。幻のApple社コラボモデルとは
パタゴニア愛好家の間で、もっとも「ヤバい」と言われているのが、Apple社の社内向けに作られたカスタムモデルです。
1990年代、パタゴニアは一部の企業向けに、その企業のロゴを刺繍した特注品を制作していました。木村氏が私物として愛用していることが判明したアップルロゴ入りフリースは、まさにその時代の遺物。
胸に輝くレインボーカラーのAppleロゴ。パタゴニアの質実剛健なフリースと、IT界の巨人のコラボレーションは、現代のヴィンテージ市場において100万円近い値がつくこともある「神格化」されたアイテムです。彼がこうした歴史的背景を持つアイテムを、知識として知ってか知らずか「格好いいから着る」という姿勢で選んでいること自体が、ファンを惹きつける理由の一つです。
キムタク風に着こなすための3つのポイント
彼のような「こなれ感」を出すためには、単に同じアイテムを買うだけでは不十分です。パタゴニアを自分の一部にするためのコツを整理しました。
1. サイズ選びは「ジャスト」よりも「1サイズ上」
最近の木村氏の着こなしを見ると、パタゴニアの製品を少しゆったりと着ていることが多いです。アメリカサイズで作られているパタゴニアは、もともと日本サイズより大きめですが、あえてさらに上のサイズを選び、肩を落として着ることで、現代的なシルエットが完成します。
2. インナーとのコントラストを楽しむ
シンチラ・プルオーバーを着る際、彼は首元のレイヤードを非常に大切にしています。
- 白Tシャツをチラ見せして清潔感を出す。
- チェックシャツを重ねて、王道のアメカジスタイルを構築する。
- サーマルを合わせて、男らしい無骨さを演出する。
首元のボタンをどう開けるか。それだけで印象はガラリと変わります。
3. ボトムスは徹底的にシンプルに
パタゴニアのフリースは、それ自体にボリュームと存在感があります。合わせるパンツは、彼が得意とするリーバイス501のようなストレートデニムや、無骨なチノパンがベストマッチ。余計な装飾を削ぎ落とし、素材感の違いで勝負するのがキムタク流です。
今から手に入れるなら。現行モデルとヴィンテージの選び方
「今からでもキムタクになれるのか?」という問いに対し、答えはYESです。パタゴニアの素晴らしさは、定番モデルが大きく形を変えずに作り続けられている点にあります。
現行品で狙うべきモデル
もし今、新しくパタゴニアを手に入れるなら、以下の2点は外せません。
- クラシック・レトロX:ナチュラルカラーを選べば、即座にあの雰囲気を纏えます。
- スナップT・プルオーバー:無地でも十分な存在感。特にオートミールやネイビーは、どんなスタイルにも馴染みます。
ヴィンテージ市場での探し方
ドラマ当時のモデルを追いかけたいなら、古着屋やフリマアプリでの粘り強い捜索が必要です。
- タグのチェック: 90年代の「雪なしタグ」や、2000年代初頭のタグを確認しましょう。
- 状態の確認: フリースの潰れや、パイピング(袖口や裾の縁取り)の伸びがないかチェック。
- 色落ち・アタリ: パタゴニアは使い込まれた風合いも魅力の一つ。適度な使用感があるものの方が、木村氏のような自然な着こなしに近くなります。
パタゴニアの理念が、木村拓哉という生き方に共鳴する
なぜ、これほどまでに長く、彼はパタゴニアを選び続けるのでしょうか。それは、パタゴニアというブランドが掲げる「環境保護」や「持続可能性」という哲学が、年齢を重ねて深みを増した彼のライフスタイルと共鳴しているからかもしれません。
パタゴニアのバッグやキャップなど、小物に至るまで彼がチョイスするのは、どれも流行り廃りに左右されない「本質的」なものばかりです。一度手に入れたら、ボロボロになるまで使い倒す。そんな彼のモノへの愛情が、パタゴニアというブランドを通じて伝わってきます。
最後に:パタゴニアをキムタクと同じ熱量で着こなす
木村拓哉氏が紹介したアイテムが瞬く間に完売する現象は、単なる人気投票ではありません。それは、彼がその服を心から愛し、自分らしく着こなしている「真実味」が伝わるからです。
あなたがこれからパタゴニアを手にするなら、ぜひ彼と同じように、長く、深く愛用してみてください。最初は新品で硬いフリースも、数年経てばあなたの体に馴染み、世界に一着だけの特別な存在になります。
ドラマのシーンに思いを馳せるのもよし、SNSの最新スタイルを真似るのもよし。パタゴニアのフリースは、あなたの日常を少しだけ豊かに、そしてエネルギッシュに変えてくれるはずです。
「パタゴニア キムタク」というキーワードが、単なる検索ワードを超えて、一人の男のスタイルへの憧れであり続ける理由。それは、時代が変わっても色褪せない、本物同士の出会いがあったからに他なりません。さあ、あなたも一着のパタゴニア・フリースから、新しい物語を始めてみませんか。

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