「一生モノのジャケットを探している」「雨の日でも最強に格好いいアウターが欲しい」
そんな風に考えているなら、避けては通れない名作があります。それがパタゴニアのフィッシングラインにおいて、数十年もの間フラッグシップとして君臨し続けている「SSTジャケット」です。
釣り人にとっては「いつかは手に入れたい聖杯」のような存在であり、古着好きやファッションフリークにとっては「唯一無二のシルエットを持つテックウェア」として愛されています。
今回は、なぜこのジャケットがこれほどまでに特別視されるのか。その歴史から驚異の機能性、そして街着としての着こなし術まで、パタゴニア SSTジャケットの魅力を余すことなくお届けします。
SSTジャケットとは?名前の由来と伝説の始まり
まずは、このジャケットが背負っている背景から紐解いていきましょう。
SSTという3文字。これは決してランダムなアルファベットの羅列ではありません。「Salmon(サケ)」「Steelhead(スチールヘッド)」「Trout(トラウト)」という、フライフィッシングにおいてアングラーが憧れる3つの魚種の頭文字をとったものです。
1980年代後半に誕生したpatagonia sstは、当時から過酷な寒冷地の川に立ち込む釣り人のために設計されました。激しい雨、凍てつく風、そして腰まで水に浸かるウェーディング。そんな極限状態を生き抜くための「道具」として生まれたのです。
パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード自身が熱心なフィッシャーマンであることは有名ですが、彼の「現場で本当に必要なものを作る」という哲学が最も濃く反映されている一着といっても過言ではありません。
唯一無二のシルエット「なぜこんなに丈が短いの?」
初めてこのジャケットを手にした人は、その着丈の短さに驚くはずです。「サイズを間違えたかな?」と思うほど、裾が腰の位置、あるいはそれより高い位置にあります。
しかし、この「ショート丈」こそがSSTジャケットのアイデンティティです。
川の中で釣りをする際、水深が深い場所では腰まで水に浸かります。通常のレインジャケットだと、裾が水に浸かってしまい、そこから水が吸い上がってきたり、ポケットの中身がびしょ濡れになったりしてしまいます。
SSTは、ディープ・ウェーディング(深い立ち込み)を想定し、あえて裾を極限まで短く設定しているのです。これにより、動きやすさを確保しつつ、水の侵入を物理的に防いでいます。
この独特の「短丈・ワイド身幅」というボックスシルエットが、巡り巡って今のストリートシーンやテックファッションのトレンドと合致し、街着としても高く評価される理由になっています。
H2Noが実現する鉄壁の防水・透湿性能
パタゴニアが誇る防水透湿基準「H2Noパフォーマンス・スタンダード」を採用した3層構造のシェルは、まさに鉄壁です。
リサイクル・ナイロンを使用したダブル・リップストップ素材は、岩に擦れたり、藪を漕いだりしてもびくともしない耐久性を備えています。それでいて、内部の湿気は外へ逃がしてくれるため、激しくキャスティングを繰り返して体温が上がっても、不快な蒸れを感じにくいのが特徴です。
さらに、表面には環境に配慮した耐久性撥水(DWR)加工が施されています。雨粒が生地の上をコロコロと転がり落ちる様子は、見ているだけでも信頼感が湧いてきます。
長年使い込んでも、適切なケア(洗濯と乾燥機での熱処理)を施せば、この撥水性能が蘇るのもパタゴニア製品の素晴らしいポイントですね。
釣り人を支える「収納力」という名の機能美
フロントに配置された2つの巨大なチェストポケット。これがSSTジャケットの顔とも言えるデザインです。
このポケットは、ただ大きいだけではありません。マチがたっぷりと取られており、大型のフライボックスやルアーケースをすっぽりと収納できます。釣りベストを着用しなくても、このジャケット一着あれば必要な道具をすべて持ち歩けるほどの収納力を誇ります。
さらに、ポケットの位置が絶妙です。ウェーダーの上から着用した際、最も手が届きやすく、かつ水に浸かりにくい高い位置に設計されています。
また、背面にも大型のポケットが備わっています。ここには予備のレイヤーや食料、あるいは使わない時のフードを収納しておくことができ、まさに「着るバックパック」のような機能性を備えています。
浸水を許さない「ストレッチコート」の袖口
アングラーにとって最大の敵は、袖口からの水の侵入です。魚をリリースするために手を水に入れたり、雨の中で竿を振り上げたりすると、重力に従って水が腕を伝い、脇の下まで濡れてしまうことがあります。
patagonia sstには、これを防ぐための「リバース・ストレッチコート」という特殊なカフス(袖口)が採用されています。
手首に吸い付くようにフィットする柔軟な素材を使用しており、マジックテープで締め込むことで、まるでダイビングスーツのような密閉性を生み出します。この「袖口から水が入らない」という安心感は、一度体験すると他のジャケットには戻れなくなるほどです。
ヴィンテージと現行モデルの違いを楽しむ
SSTジャケットは、数十年の歴史の中で何度もアップデートを繰り返してきました。そのため、古着市場でも非常に人気が高いアイテムです。
90年代のモデルは、今よりもさらにゆったりしたシルエットや、当時のパタゴニアらしい絶妙なカラーリング(スカッシュ、ブライトパープル、ディープグリーンなど)が特徴です。胸のロゴが刺繍だったり、タグのデザインが違ったりと、マニア心をくすぐるディテールが満載です。
一方、現行モデルは素材のリサイクル率が高まり、より軽量化が進んでいます。ジッパーの防水性能や、カッティングの洗練度も向上しており、実用性を重視するなら最新モデルに軍配が上がります。
新旧どちらを選んでも、その本質的な魅力が変わらないのがSSTの凄さ。長く愛されているからこそ、自分の好みに合った年代の一着を探す楽しみがあります。
街着としての着こなし術。短丈をどう活かすか?
最近では、このフィッシング特化型のpatagonia sstを街中で着こなす人が増えています。しかし、その独特のシルエットゆえに「着こなしが難しそう」と感じる方もいるでしょう。
コツは、レイヤード(重ね着)を楽しむことです。
- インナーとの着丈差を活かす丈の長いシャツやスウェットをインナーに着て、裾をあえて出すスタイル。この段差がコーディネートにリズムを生みます。
- ワイドパンツとの相性上半身がコンパクトに見えるため、太めの軍パンやチノパン、ワイドデニムと合わせると、非常にバランスの良い「Aライン」のシルエットが完成します。
- テック・モノトーン黒やネイビーの現行モデルを選び、ボトムスも同系色でまとめれば、都会的で洗練されたテックウェアスタイルに仕上がります。
足元にはボリュームのあるスニーカーや、duck bootsのようなタフなブーツを合わせると、全体の重厚感が統一されて格好良く決まります。
パタゴニアの修理保証「長く着ること」の価値
patagonia sstは決して安い買い物ではありません。現行品であれば8万円近い価格がします。しかし、これは単なる消耗品ではなく、一生付き合っていく「相棒」への投資です。
パタゴニアには、世界最高水準のリペアサービスがあります。長年の使用でジッパーが壊れたり、生地が破れたりしても、パタゴニアの修理部門に送れば、職人たちが丁寧に直してくれます。
「壊れたら買い替える」のではなく「直して使い続ける」。この哲学こそが、パタゴニアの製品を所有する最大の喜びかもしれません。10年後、20年後に、パッチワークで補修されたSSTジャケットを着ている自分を想像してみてください。それはどんな新品の服よりも格好いいはずです。
まとめ:パタゴニア SSTジャケットが一生モノである理由
過酷な自然環境に挑む釣り人のために作られたSSTジャケット。その機能美は、時を経てファッションの領域でも高く評価されるようになりました。
圧倒的な防水透湿性、計算し尽くされた収納力、浸水を防ぐ袖口、そして何より、一目でそれと分かる象徴的なシルエット。これほどまでに個性的でありながら、実用性を極めたアウターは他にありません。
もしあなたが、流行に左右されず、背景に物語があり、かつ雨の日が楽しみになるような一着を探しているなら、ぜひ一度patagonia sstに袖を通してみてください。
その瞬間、なぜこのジャケットが「名作」と呼ばれ続けているのか、その理由が肌で理解できるはずです。一度手にすれば、釣り場でも街角でも、あなたの冒険を支える最高のパートナーになってくれるでしょう。
パタゴニアの名作SSTジャケットを徹底解説!釣りから街着まで選ばれる理由と魅力を紹介してきました。次はあなたが、この伝説の一着と共に新しい物語を刻む番です。

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