キャンプを始めようと思って道具を揃え出すと、必ずと言っていいほどぶつかる壁があります。それは「クッカー選び」です。
「安くて丈夫なものがいいけれど、失敗はしたくない」
「家族で使うにはどのサイズが正解なの?」
「ステンレス製は焦げ付くって聞くけど、実際どうなの?」
そんな悩みを抱えるキャンパーの間で、長年「神コスパアイテム」として君臨し続けているのが、キャプテンスタッグの「ラグナステンレスクッカーセット」です。通称「鹿番長」の愛称で親しまれるこのブランドが、金属加工の街・燕三条で作り上げた傑作。
今回は、私自身が実際にフィールドで使い倒して分かった、ラグナステンレスクッカーの魅力から、LセットとMセットの決定的な違い、そして誰もが恐れる「ステンレスでの炊飯」を成功させるコツまで、余すことなくお届けします。
迷ったらどっち?LセットとMセットの決定的な違い
ラグナステンレスクッカーを購入しようと決めた時、最初に直面するのが「Lセット(M-5504)」にするか「Mセット(M-5510)」にするかという問題です。
見た目はそっくりですが、中身の構成と「できること」には大きな差があります。
まず、大人数やファミリーキャンプを想定しているなら、迷わずLセットをおすすめします。Lセットの最大の目玉は、なんといっても「ケトルクッカー」が含まれている点です。このケトル、ただのお湯沸かしではありません。取っ手の向きを付け替えることで、片手鍋としても使える2WAY仕様なんです。
朝、コーヒーを淹れるためにお湯を沸かし、昼はカップ麺、夜はスープを作る。この立ち回りの良さはLセットならではの特権です。また、フライパンのサイズも20cmと、4人家族の炒め物にも対応できるサイズ感になっています。
一方で、2〜3人のデュオキャンプや、少しでも荷物をコンパクトにまとめたいという方にはMセットが最適です。Lセットに比べて一回り小さく、重量も約1.3kgと軽量。ケトルこそ付属しませんが、18cmと14cmの鍋があれば、炊飯と汁物を同時にこなすには十分なスペックです。
どちらのセットも、全ての鍋がマトリョーシカのように一つに重なる「スタッキング性能」は抜群です。収納袋に入れれば、驚くほどスッキリと車に積み込めますよ。
ステンレス製クッカーを選ぶメリットと覚悟すべき点
キャンプ用クッカーには「アルミ」「チタン」「ステンレス」の3つの主要素材がありますが、ラグナステンレスクッカーに採用されているのは、その名の通りステンレスです。
ステンレスの最大のメリットは、何と言っても「頑丈さ」と「清潔感」です。
アルミのように簡単に凹むことはありませんし、チタンのように熱で激しく変色することも少ないです。使い終わった後は家庭用の洗剤とスポンジでガシガシ洗えますし、焦げ付いても金たわしでリカバリーできる。この「道具を雑に扱える安心感」こそが、過酷なアウトドア環境では最大の武器になります。
また、キャプテンスタッグの製品は日本製。燕三条の職人魂が込められたエッジの処理や取っ手の取り付け精度は、安価な海外製品とは一線を画します。
ただし、覚悟しておくべき点もあります。それは、ステンレス特有の「熱伝導率の低さ」です。
ステンレスは熱が伝わるのが遅く、火が当たっている部分だけが急激に熱くなる性質があります。これが「焦げ付き」の大きな原因になります。特にラグナステンレスクッカーは、軽量化のために板厚が比較的薄めに作られています。そのため、強火で一点を熱し続けると、鍋底が変形したり、局所的に食材が炭になったりすることがあります。
この特性を理解し、「火加減をコントロールする楽しみ」と思えるかどうかが、このクッカーと長く付き合えるかの分かれ道になります。
焦げ付きを回避して美味しく炊飯するための3つのコツ
「ステンレスクッカーでご飯を炊くのは難しい」
そう思っていませんか?確かに、アルミ製の炊飯専用釜に比べれば、少しだけコツが必要です。でも、以下の3つのポイントさえ押さえれば、ラグナステンレスクッカーでもツヤツヤの美味しいご飯が炊けます。
- しっかり30分以上の吸水これは基本中の基本ですが、ステンレス炊飯では命取りになります。お米の芯までしっかり水を行き渡らせることで、加熱時間を短縮し、底だけが焦げるリスクを減らします。
- バーナーパッドを導入するこれが最も効果的な裏技です。バーナーパッドを五徳と鍋の間に敷くだけで、直火の「点」の熱を「面」の熱に変換してくれます。これがあるだけで、熱ムラが劇的に改善され、焦げ付きの可能性をグッと下げることができます。
- 沸騰した瞬間に一度かき混ぜる強火で加熱し、蓋がカタカタ鳴って沸騰したら、一度思い切って蓋を開けてください。そして、スプーンなどで底から全体をぐるっとひっくり返すように混ぜます。これによって、底に溜まったお米が入れ替わり、均一に熱が入るようになります。その後、極弱火に落として10分から12分。最後は15分の蒸らし時間を取れば完璧です。
「キャンプで炊いたご飯が焦げて悲しい思いをした」という経験がある方にこそ、この「丁寧な炊飯」をぜひ試していただきたいです。
フライパンの使い勝手とメンテナンスの注意点
セットに含まれるフライパンについてもお伝えしておきましょう。
ラグナステンレスクッカーのフライパンは、表面にフッ素加工などが施されていない「素のステンレス」です。
そのため、何も考えずに肉を焼くと、もれなくこびり付きます。コツは「しっかり予熱して、油を馴染ませること」。煙がうっすら出るくらいまで温めてから油を引き、食材を入れる。これだけで、テフロン加工には及びませんが、かなりスムーズに調理できるようになります。
また、焚き火でこのクッカーを使う場合は、外側に煤(すす)が付きます。これはこれでキャンプの勲章のようなものですが、気になる方は、使う前に鍋の外側に液体洗剤を薄く塗っておくと、後で煤が落ちやすくなります。
使い込むほどに小さな傷がつき、鈍い光を放つようになるステンレスクッカー。それは、あなたがキャンプを積み重ねてきた証でもあります。
キャプテンスタッグ「ラグナステンレスクッカー」レビュー!LとMの違いや炊飯のコツまとめ
ここまでラグナステンレスクッカーの実力について深く掘り下げてきました。
改めて振り返ると、このクッカーセットは「高価なブランド品ではないけれど、必要十分な機能を備え、使い手とともに成長していく道具」だと言えます。
- 4人以上の家族やケトルが欲しいなら「Lセット」
- 2〜3人でミニマルに楽しみたいなら「Mセット」
- ステンレスの特性を理解して、バーナーパッドを併用すれば炊飯も怖くない
- 燕三条製の信頼感がありながら、驚きのコストパフォーマンス
キャンプ道具は、大切に過保護に扱うものだけではありません。焚き火に放り込み、泥だらけになり、時には焦げ付かせながら、タフに使い倒す。そんなワイルドなキャンプスタイルに、このキャプテンスタッグのステンレスクッカーは最高にマッチします。
もしあなたが、最初の一歩を踏み出すための相棒を探しているのなら、この「鹿番長」のロングセラーを選んで間違いはありません。使い込むほどに愛着が湧き、気がつけば数年後もあなたのキャンプサイトの定番であり続けているはずです。
ラグナステンレスクッカーを手に取って、あなただけの美味しいキャンプ飯を、フィールドで楽しんでみてくださいね。

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