キャンプ沼にハマって数年。「そろそろ普通のギアじゃ物足りない」「もっと軽く、もっとタフな相棒が欲しい」──そう感じ始めたあなたにこそ読んでほしい。
ヘリノックスと聞くと、巷でよく見かけるカラフルなチェアを思い浮かべるかもしれない。でも実はあれ、ヘリノックスにとっては入り口に過ぎないんだ。今回は「ACG(All Conditions Gear)」の精神、つまり全天候型で過酷な環境にも耐えうるギアをテーマに、ヘリノックスが誇る上級者ラインを深掘りしていく。
おしゃれなだけでしょ?なんて思った日には、もう普通のコットには戻れなくなるかもよ。
「ヘリノックス ACG」的な発想が生んだ、タクティカルラインという選択肢
「ACG」って言葉、元はナイキのアウトドアラインを指すけど、いまや「全天候型でタフなギア」の代名詞みたいになっている。でも実は、ヘリノックスにはナイキACGとの現在進行形のコラボ商品は存在しない。
2020年にビームスが絡んだキャンペーンで非売品のコラボチェアが景品になったことはあるものの、基本的に市場で「ヘリノックスACG」として買えるものはないんだ。じゃあその期待をどこにぶつければいいのかというと、それがタクティカルサプライラインというわけ。
モールシステムを搭載していたり、マルチカムブラックやコヨーテタンといったミリタリーテイストのカラーリング。見た目の無骨さだけじゃない。細かい仕様のひとつひとつが、想定されているのはハードなフィールドだ。
たとえば、普通のキャンプチェアの生地を想像してほしい。ポリエステルだったりナイロンだったり、まあ悪くない。でもタクティカルラインに採用されているのは、難燃性に優れた素材や摩耗に極端に強いコーデュラナイロンだったりする。
焚き火の火の粉が飛んでもすぐに穴が開かない。岩場でズルッと引きずってもビクともしない。そういう過信できる安心感が、経験を積んだキャンパーほど刺さるんだよね。
軽さと強さを両立するDACポール。これがヘリノックスの背骨だ
ヘリノックスのギアがただのおしゃれチェアと一線を画す最大の理由。それがDAC社製のアルミニウムポールにある。
DACっていうのは、韓国に本拠を置くポールメーカーだ。名だたるハイエンドテントブランドがここのポールを採用している。つまり、超がつくほどのプロフェッショナル集団ってこと。
ヘリノックスはこのDACと共同で、TH72Mという専用合金を開発している。通常のアルミポールに比べて強度が格段に高いのに、異様に軽い。昔のキャンプギアでありがちな「骨組みが重い」問題を根本から解決したんだ。
実際にチェアゼロのフレームを持ってみるとわかる。「え、これ中身入ってる?」って疑いたくなる軽さなのに、座ってみると不安感がゼロ。これが素材のテクノロジーってやつか、と膝を打つ瞬間だ。
このタクティカルチェアは重量1kgちょっと。収納時のコンパクトさと座面の広さのバランスが絶妙で、ハンモック感覚でくつろげる設計が人気の秘密だ。
チェアゼロLT vs チェアゼロ。数十グラムの差が生む、とんでもない快適性
ヘリノックスの超軽量チェアといえば「チェアゼロ」が有名だ。510gという重さで、背もたれ付きの快適な椅子を実現した名作。でも待ってほしい、2024年にさらに進化したチェアゼロLTが登場しているんだ。
チェアゼロLTの重量はなんと494g。たった16gの削減?そう思うかもしれない。でもこの数字、実はとんでもなくすごいことなんだ。
なぜなら、チェアゼロLTは座面の生地を大胆に変更してきた。従来のチェアゼロがナイロンメッシュだったのに対し、LTは張りのある新素材を採用。通気性を高めつつ、身体を包み込むような座り心地を実現している。軽くなっただけじゃない、座り心地もアップしているという反則的な進化だ。
「荷物を1gでも減らしたい」というUL(ウルトラライト)勢にはもちろん、「設営撤収がとにかく楽で、座り心地も妥協したくない」というズボラキャンパーにも全力でおすすめしたい一脚だ。
モンベルでも取り扱いが始まったゼロLT。ブランドの垣根を超えて評価されている証拠と言えるだろう。
コットがテントになる。タクティカルコットテント ソロの異次元な発想
これこそが、ヘリノックスの真骨頂かもしれない。「あれもこれも持っていくのは面倒だし、設営の手間も減らしたい」。そんな我儘な願いを全部叶えてしまったのがタクティカルコットテント ソロだ。
名前の通り、コット(簡易ベッド)にメッシュテントとフライシートが一体化している変態ギア。地面にマットを敷かなくていいから、凸凹したサイトでも快眠。しかも虫の侵入を防ぐメッシュと、プライバシーを確保して雨露をしのぐファブリックの2種類が展開されている。
設営時間は慣れれば一瞬。ポールを広げて、テント部分をかぶせるだけ。テントも張って、コットも出して、っていうあの面倒な二度手間がないんだ。バイクツーリングのソロキャンプや、フェスで周りに差をつけたいときなんかにも最高に映える。
「地面からの冷気がつらい」「朝起きたら腰が痛い」という悩みを、このギアひとつで根本から解決できる。コットの高さがあるから、冬キャンプの寒さ対策としても理にかなっているんだ。
フラグメントデザインとのコラボが示す、ヘリノックスの文化的地位
話はちょっとストリート方面に飛ぶけど、ヘリノックスが藤原ヒロシ率いるフラグメントデザインとコラボしている事実も見逃せない。
原宿にある旗艦店「ヘリノックスクリエイティブセンター東京」でリリースされた限定モデルは、タクティカルラインをベースにフラグメントお得意のブラックで統一。ロゴが光る仕様で、コレクター心をくすぐる逸品に仕上がっている。
これって結構すごいことで、単なるアウトドアブランドがストリートの重鎮とタッグを組むっていうのは、それだけ文化的なアイコンとして認められた証明なんだよね。つまりギアとしての性能だけじゃなくて、「持つこと自体がステータス」になりつつある。スプリームとのコラボもしかり。
もちろんこうしたコラボモデルは瞬時に完売するか、プレミア価格がついていることが多い。でも「タフでいて、所有する喜びがある」。これもまた、ヘリノックスが追い求めるアウトドアギアのひとつの完成形だと思う。
失敗しないために。ネットの口コミから見えたリアルな注意点
どれだけ良いギアでも、弱点を知らずに買うのは危険だ。実際のユーザーレビューから、購入前に知っておくべきポイントを正直にまとめておく。
まず、超軽量チェア全般に言えることだが、沈み込みに注意が必要だ。砂地や柔らかい土の上だと、脚がめり込んで不安定になることがある。別売りのボールフィート(接地部分を大きくするパーツ)や、グランドシートを併用するユーザーが多い。
次に、組み立て方のクセだ。フレームを広げて上から生地をかぶせる一連の流れは、慣れるまで少し力がいる。手順というよりは「コツ」で、YouTubeなどで可動域を予習しておくとスムーズだ。
あとは価格。決して安くはない。タクティカルチェアなんて2万円台中盤は当たり前なので、「ちょっと試しに」というよりは「長く使う相棒」という覚悟が必要。でもこれは逆に言えば、それだけの価値を感じているユーザーが圧倒的に多いということでもある。
ヘリノックスが示す「ACG」的なギア選びの本質
結局、「ヘリノックス ACG」という言葉が示していたのは、アウトドアギアに求める謝罪のない性能だと僕は思う。
雨が降っても、風が吹いても、不整地でも、ギアのせいでテンションを下げたくない。むしろ、過酷な状況だからこそ真価を発揮するような相棒が欲しい。タクティカルラインも、チェアゼロLTも、コットテントも、その期待に真っ向から応えてくれる製品群だ。
流行りのスタイルだけを追いかけても、本質的な不便さからは逃れられない。ヘリノックスの「本気」のギアたちは、少なくともあと10年は戦える骨太さを持っている。キャンプの回数が増えてきて、ギアに求める基準がシビアになってきた今だからこそ、手を伸ばしてみる価値は大いにあると思う。

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