「このモンベル、いつ頃のモデルだろう?」
古着屋のラックで見つけた一着や、実家のクローゼットの奥から出てきた懐かしいジャケット。そんな時、真っ先にチェックすべきなのが「タグ」です。日本が世界に誇るアウトドアブランド、モンベル(mont-bell)の製品は、タグのデザインを見ればそのアイテムが歩んできた時代を雄弁に語ってくれます。
近年のヴィンテージアウトドアブームの中で、通称「オールド・モンベル」と呼ばれる80年代〜90年代のアイテムが再評価されています。機能美を追求し続けるモンベルの歴史を、タグという小さな窓から覗いてみましょう。
モンベルの歴史とロゴデザインの変遷
- 設立当初の「筆記体ロゴ」(1975年〜1980年代初頭)
ブランド設立者である辰野勇氏が、28歳の若さでアイガー北壁を制覇した後に立ち上げたのがモンベルです。この最初期のアイテムに付けられていたのが、流れるようなスクリプト体の「筆記体ロゴ」です。
現行の質実剛健なイメージとは異なり、どこかヨーロッパの優雅さを感じさせるデザインが特徴です。この時代のアイテムは市場に出回ることが極めて稀で、もし古着屋で見つけたら「お宝」と言っても過言ではありません。
- 黄金期の「カク文字ロゴ」(1980年代〜1990年代半ば)
多くの古着ファンが「これぞオールド・モンベル」と認識するのが、この角張ったフォントのロゴです。通称「カク文字」や「旧ロゴ」と呼ばれ、文字の線が太く、どこか武骨な印象を与えます。
1980年代は、モンベルが日本で初めてゴアテックス ジャケットを発売するなど、技術革新が目覚ましかった時代です。このロゴが付いている製品は、当時の最先端技術が詰め込まれた逸品ばかりです。
- 洗練された「現行ロゴ」(2000年代〜現在)
1990年代後半から徐々に移行し、現在定着しているのが丸みを帯びたサンセリフ体のロゴです。視認性が高く、どんなフィールドでも馴染むクリーンなデザイン。近年の軽量化トレンドに合わせ、首元のタグが布ではなくプリント仕様になっているものも増えています。
タグのディテールから年代を絞り込むテクニック
メインのロゴ以外にも、年代を特定するためのヒントは随所に隠されています。
- 製造国をチェックする1980年代から90年代初頭までのアイテムの多くは「MADE IN JAPAN(日本製)」です。その後、生産拠点がアジア諸国へ移行していきますが、初期の日本製モデルは縫製の細かさや生地の質感が非常に高く、ヴィンテージとしての価値を支えています。
- ケアラベル(洗濯タグ)の記載内側に付いているケアラベルを確認してください。会社名の横に記載されている住所や、電話番号の桁数に注目です。大阪市の市外局番がまだ3桁だった時代のものは、確実に90年代以前の個体であると判断できます。
- ファスナーの形状(YKKジップ)ジッパーの引き手のデザインも重要です。80年代のモデルには、現在の形とは異なる少し大ぶりなYKK製ジッパーが使われていることが多く、経年変化による塗装の剥げ具合も年代特有の味として楽しめます。
素材タグが教える当時の最先端スペック
モンベルの凄さは、常に「その時代の最高素材」をいち早く取り入れてきた点にあります。
- 初期のゴアテックスパッチ80年代のモンベル レインウェアには、袖口や胸元に誇らしげに「GORE-TEX」の刺繍パッチが縫い付けられていることがあります。今の圧着ロゴとは違い、立体感のある刺繍はヴィンテージならではの豪華な仕様です。
- シンサレートと中綿の進化3M社の高機能中綿素材「Thinsulate(シンサレート)」を採用した防寒着も、80年代〜90年代の定番です。当時の大きな黄色いロゴタグが付いていれば、それは冬の寒さと戦ってきた本格的なギアの証拠です。
- 独自のフリース素材モンベル フリースでよく見かける「クリマプラス」や「シャミース」といった名称。これらも年代によってロゴのフォントが微妙に異なります。特に初期の「CLIMAPLUS」表記は、今のものよりもどこかレトロなフォントが使われています。
なぜ今「オールド・モンベル」が選ばれるのか
パタゴニアやノースフェイスといった海外ブランドのヴィンテージが高騰する中、モンベルが注目されているのには理由があります。
まず、日本人体型に完璧にフィットするシルエットです。海外ブランドだと袖が長すぎたり、身幅が広すぎたりすることがありますが、モンベルは日本のメーカー。当時の設計でも、今の私たちが街着として着た時に驚くほどしっくりくるのです。
次に、独特のカラーリングです。80年代から90年代のモンベルは、エメラルドグリーン、パープル、落ち着いたネイビーなど、今の現行品にはない絶妙な中間色を多用していました。これが現代のテックファッションや古着ミックススタイルに抜群に映えるのです。
そして何より、圧倒的な耐久性です。30年以上前のジャケットであっても、シームテープを張り替えれば現役で使えるほど、当時の作りは丁寧です。
【モンベルのタグから年代を特定】まとめとこれからの楽しみ方
モンベルの製品を手にした時、まずは首元のタグを見てください。カクカクとした力強いロゴがあれば、それは80年代の登山ブームを支えた頼もしい相棒かもしれません。日本製(MADE IN JAPAN)の文字を見つけたら、当時の職人たちのこだわりを感じてみてください。
年代特定のポイントをおさらいしましょう。
- ロゴの形(筆記体→カク文字→丸文字)
- 製造国(日本製ならオールドの可能性大)
- ケアラベルの住所や電話番号
- 素材タグの刺繍やパッチのデザイン
これらを知るだけで、一着のウェアに対する愛着はぐっと深まります。
モンベルは単なる消耗品ではなく、世代を超えて受け継がれる「道具」です。古いモデルを大切に使い続けることは、ブランドが掲げる「Function is Beauty(機能美)」を体現することでもあります。
もし今、あなたの手元に古いモンベルがあるのなら、ぜひそのタグをじっくり眺めてみてください。そこには、日本の山々を切り拓いてきた挑戦の歴史が刻まれています。
これから古着屋を巡る際も、この知識をポケットに忍ばせておけば、誰にも気づかれていない素晴らしいヴィンテージに出会えるかもしれませんね。
【モンベルのタグから年代を特定】古着好き必見の見分け方とロゴの歴史を徹底解説!というテーマでお届けしました。あなたの素敵なアウトドアライフ、そして古着ライフの一助となれば幸いです。

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