アウトドアを愛する人なら一度はその名を聞いたことがあるはず。それがパタゴニアの名作中の名作、「スカノラック(Skanorak)」です。
90年代のヴィンテージ市場で圧倒的な存在感を放ち、今なお多くのファンを魅了してやまないこの一着。カヤック用というマニアックな出自を持ちながら、なぜこれほどまでにストリートやファッションシーンで愛されているのでしょうか。
今回は、スカノラックの歴史から、気になるサイズ感、古着選びの注意点まで、その魅力を余すことなくお届けします。
そもそもパタゴニアの「スカノラック」とは何なのか?
スカノラックは、1990年代にパタゴニアからリリースされた、シーカヤックやパドリングなどのマリンスポーツを想定して作られたプルオーバー型のアノラックパーカです。
名前の由来は「スカンジナビア」と「アノラック」を掛け合わせた造語と言われており、北欧の厳しい海での使用にも耐えうるスペックを備えていました。
最大の特徴は、何といってもその独特なシルエットです。腹部に配置された巨大なカンガルーポケットや、水の侵入を防ぐための首元のダブルフラップ。これらはすべて「カヤックに座った状態でいかに機能するか」を突き詰めた結果生まれたディテールですが、それが現代の目で見ると、唯一無二の「ギア感」として非常に格好良く映るのです。
90年代オリジナルと復刻モデルの違い
スカノラックには、大きく分けて90年代に製造された「オリジナル」と、2017年前後に登場した「復刻(アップデート)モデル」が存在します。
90年代オリジナルの魅力
ヴィンテージファンが血眼になって探しているのがこちらです。
- 素材感: 当時のナイロン特有の、少しガシッとした質感が特徴です。
- カラーリング: マンゴー、ブライトパープル、コバルトなど、90年代のパタゴニアを象徴する鮮やかな発色が楽しめます。
- ディテール: 首元のベルクロや袖口の処理など、現行品にはない無骨な作り込みが魅力。
現代版(復刻)モデルの進化
数年前に登場した復刻版は、オリジナルの良さを活かしつつ、よりタウンユースに特化しています。
- 軽量化: 現代のハイテク素材やリサイクルナイロンを使用し、軽やかな着心地に。
- シルエット: オリジナルの極端なワイドシルエットを少し整理し、現代のファッションに合わせやすいバランスになっています。
失敗しないためのサイズ感と選び方のコツ
パタゴニアのウェア全般に言えることですが、スカノラックは特にサイズ選びが重要です。基本的に「USサイズ」かつ「オーバーレイヤー(重ね着)」を想定しているため、作りが非常に大きめです。
サイズ選びの目安
結論から言うと、**「普段の日本サイズより1〜2サイズダウン」**を検討するのが無難です。
- ジャスト〜少しゆったり: 普段Lサイズを着ている方なら、スカノラックはSまたはMサイズで十分ゆとりがあります。
- トレンドのビッグシルエット: 普段のサイズと同じものを選ぶと、かなりボリュームのある着こなしになります。
注意すべきポイント
スカノラックは「プルオーバー(被り型)」です。身幅は広いですが、裾のドローコードを絞って着るのがこの服の醍醐味。あまりにサイズを下げすぎると、脱ぎ着の際に肩周りが窮屈に感じたり、中にスウェットやパタゴニアのフリースを着込めなくなったりするので注意が必要です。
古着で購入する際のチェックポイント
現在、スカノラックの入手経路は主に古着屋やフリマアプリになります。ヴィンテージ品を狙うなら、以下のポイントを必ず確認してください。
裏地の剥離(加水分解)
90年代の防水シェルに避けて通れないのが、内側のコーティングがポロポロと剥がれてくる「加水分解」です。
- 白い粉が出ていないか?
- 独特の酸っぱい臭いがしていないか?これらは購入前に必ずチェックしましょう。もし剥離していても、重曹などで完全に落とし切って「ただのナイロンジャケット」として着るファンも多いですが、防水性は期待できなくなります。
パーツの欠損
特に首元のベルクロの粘着力や、裾・フードのドローコードの伸びを確認してください。また、フロントポケット内のメッシュに破れがないかも重要なポイントです。
スカノラックを長く愛用するためのメンテナンス
お気に入りのパタゴニア製品は、適切に手入れをすれば一生モノになります。
- こまめな洗濯: 「防水シェルは洗わない方がいい」というのは大きな誤解です。皮脂や汚れがコーティングを傷める原因になるため、専用の洗剤を使って定期的に洗濯しましょう。
- 撥水性の復活: 洗濯後、乾燥機に低温で20分ほどかけるか、当て布をして低温でアイロンをかけると、熱によって撥水性能が蘇ります。
- 保管: 湿気は大敵です。クローゼットに詰め込まず、風通しの良い場所にハンガーで吊るしておきましょう。
他の名作モデルとの比較
スカノラックとよく比較されるのが、フィッシング用の「SSTジャケット」です。
- SSTジャケット: 丈が極端に短く、ポケットが胸に配置されています。ウェーディング(川に浸かる)を想定しているためです。
- スカノラック: 丈は標準的で、腹部のポケットが目立ちます。
街着としてのバランスの良さで選ぶならスカノラック、よりエッジの効いた短丈スタイルを楽しみたいならSSTジャケット、といった使い分けがおすすめです。どちらもパタゴニアの歴史を語る上では欠かせないピースですね。
パタゴニア スカノラック完全ガイド!サイズ感や名作の魅力を古着・復刻共に解説:まとめ
パタゴニアのスカノラックは、単なるヴィンテージのナイロンパーカではありません。それは、当時のデザイナーたちが「水の上で最高のパフォーマンスを」と願い、機能を形にした芸術品のような一着です。
パキッとしたマンゴーカラーで90年代を気取るもよし、落ち着いたカラーの復刻版で大人のアウトドアスタイルを楽しむもよし。
自分にぴったりのサイズ感を見極めて、ぜひこの伝説の名作をあなたのワードローブに加えてみてください。一度袖を通せば、その包容力のあるシルエットと圧倒的なギア感の虜になるはずです。

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