「一生モノの作業着」と聞いて、あなたならどんな一着を思い浮かべますか?
多くの方は、アメリカの老舗ワークブランドをイメージするかもしれません。しかし、今、本気で現場に立つプロフェッショナルや、焚き火を愛するキャンパーたちの間で熱狂的な支持を集めているのが、パタゴニアのワークウェアラインです。
その中でも、圧倒的な堅牢さを誇るのが「アイアン・フォージ・ヘンプ・キャンバス」シリーズ。
「パタゴニアが作業着?」と意外に思う方もいるかもしれませんが、実は彼らのルーツは、創業者イヴォン・シュイナードが自ら鍛造(フォージ)した頑丈なピトンにあります。原点回帰とも言えるこのシリーズが、なぜこれほどまでに高く評価されているのか。
今回は、パタゴニア アイアン フォージの真実に迫ります。
12.9オンスの衝撃。アイアン・フォージ・ヘンプ・キャンバスとは何か
パタゴニアのワークウェアを語る上で欠かせないのが、独自開発された「アイアン・フォージ・ヘンプ・キャンバス」という素材です。
一般的なワークパンツやジャケットに使われる「ダック生地」は、コットン100%であることがほとんど。しかし、パタゴニアはそこに「ヘンプ(麻)」を混ぜ込みました。混紡率はヘンプ55%、リサイクル・ポリエステル27%、オーガニックコットン18%という絶妙なバランスです。
この12.9オンスという厚手の生地、実は従来のコットン・ダック・キャンバスと比較して、耐摩耗性が25%も向上していることがテストで証明されています。
「25%」と聞くと数字だけのように感じますが、実際に現場で膝をつき、木材を運び、火の粉が舞う環境で使い込んでみると、その差は歴然です。他のパンツなら穴が空くような場面でも、アイアン・フォージは表面が少し毛羽立つ程度で、ビクともしません。
まさに、名前の通り「鉄(Iron)」のように鍛え上げられた(Forge)生地なのです。
「新品なのに柔らかい」という魔法。慣らし運転はもういらない
厚手のワークウェアを購入した際、一番の悩みとなるのが「生地の硬さ」ではないでしょうか。
新品のダック地はまるで段ボールのように硬く、自分の体に馴染むまで何度も洗濯を繰り返し、数ヶ月間は動きにくさを我慢するのが当たり前でした。しかし、パタゴニア アイアン フォージ のシリーズは、手にした瞬間からその常識を覆してくれます。
ヘンプという天然繊維は、強靭であると同時に、非常にしなやかな特性を持っています。そのため、12.9オンスというヘビー級の厚みがありながら、最初から数年使い込んだような柔らかさがあるのです。
届いたその日に現場へ出て、ストレスなく屈伸ができる。この「即戦力」としてのクオリティこそが、忙しいワーカーたちに選ばれる大きな理由の一つとなっています。
過酷な現場でこそ光る、細部へのこだわり
アイアン・フォージの製品群を見渡すと、単に生地が強いだけではないことがわかります。
例えば、パタゴニア アイアン フォージ ダブルニー パンツ を見てみましょう。膝部分は二重に補強されており、下部にはニーパッドを挿入できる開口部が設けられています。一日中膝をついて作業をする庭師や大工さんにとって、これは膝の痛みを劇的に軽減してくれる救世主のようなディテールです。
また、ポケットの配置も秀逸です。ツールを引っ掛けても破れないように縁が補強されていたり、グローブをはめたままでもアクセスしやすい大きなポケットが配置されていたりします。
ジャケット類に目を向ければ、背中に「アクションプリーツ」と呼ばれる折り込みが入っています。これにより、厚手の生地であっても腕を上に伸ばしたり、大きく振ったりする動作が驚くほどスムーズに行えます。
「頑丈な服は動きにくい」というこれまでのワークウェアの弱点を、パタゴニアはデザインの力で完全に克服しているのです。
夏は涼しく冬は強い。ヘンプがもたらす驚きの快適性
「12.9オンスの厚地なんて、蒸れて暑いだけじゃないか?」
そう思うのも無理はありません。しかし、ここでもヘンプの特性が活きています。ヘンプは多孔質な繊維であり、通気性に非常に優れています。さらに、天然の抗菌・防臭効果も備えているため、汗をかく激しい労働環境でも嫌なニオイがこもりにくいのです。
もちろん、真夏の炎天下でアイアン・フォージを着るのは流石に酷かもしれません。しかし、春・秋の作業や、冷え込む早朝の屋外活動においては、この厚みが外気を遮断しつつ、内側の湿気を逃がしてくれるため、非常に快適な衣服内環境を保ってくれます。
また、ポリエステルを混紡していることで、コットン100%のワークウェアよりも乾きが早いというメリットもあります。雨や汗で濡れても、次の日の朝には再び戦場へ持っていける。この回転の速さも、プロにとっては重要な性能です。
焚き火を愛するキャンパーがアイアン・フォージを選ぶ理由
最近では、プロの職人だけでなく、キャンプ愛好家の間でもアイアン・フォージの人気が急上昇しています。その最大の理由は「火への強さ」です。
近年のアウトドアウェアは化学繊維(ナイロンやポリエステル)が主流ですが、これらは熱に弱く、焚き火の火の粉が飛ぶと一瞬で穴が空いてしまいます。お気に入りの高価なダウンジャケットに穴が空いて、ショックを受けた経験がある方も多いはず。
その点、ヘンプとコットンの混紡率が高いアイアン・フォージは、火の粉が付着してもすぐに払い落とせば穴が空きにくい性質を持っています。
薪を割り、重いダッチオーブンを運び、煙に巻かれながら火を育てる。そんなタフなキャンプスタイルにおいて、汚れや傷を気にせずガシガシ使えるパタゴニア アイアン フォージ は、最高の相棒となります。汚れたら洗濯機に放り込み、乾燥機でタフに乾かす。その過程で生まれるアタリや色落ちも、自分だけの「味」として刻まれていきます。
サイズ選びの罠。失敗しないためのチェックポイント
パタゴニアの製品全般に言えることですが、特にワークウェアラインのサイズ選びには注意が必要です。
アイアン・フォージのシリーズは、すべて「ワーク・フィット(またはリラックス・フィット)」で設計されています。これは、作業中に中に着込んだり、大きく体を動かしたりすることを前提としているため、パタゴニアの通常の登山用ウェアよりもかなり大きめの作りになっています。
普段パタゴニアのMサイズを着ている方が、同じ感覚でMサイズを購入すると、「まるで服に着られている」ようなオーバーサイズ感に驚くかもしれません。
基本的には「ワンサイズ下」を選ぶのがセオリーです。例えば、日本のLサイズが標準的な体型の方なら、パタゴニアのSサイズ、あるいはゆったり着たい場合でもMサイズで十分すぎるほどの余裕があります。
特にパンツの丈に関しては、アメリカ仕様で長めに設定されていることが多いため、ロールアップして履くか、専門店で裾上げをすることを前提に検討することをお勧めします。
究極のコスパは「修理して使い続ける」ことにある
「作業着に数万円も出すのは高すぎる」
そう感じるのは当然です。しかし、ここで考えたいのがパタゴニアの「アイアンクラッド保証」です。
パタゴニアは、自社製品を長く使い続けることを推奨しており、万が一壊れた場合でも、適正な価格(あるいは保証範囲内であれば無料)で修理を受け付けてくれます。
一般的なワークパンツであれば、破れたら捨てて買い直すのが普通でしょう。しかし、アイアン・フォージは違います。膝が擦り切れたらパッチを当てて補強し、ジッパーが壊れたら交換する。そうして修理を繰り返しながら10年、15年と使い続けることができるのです。
数千円のパンツを毎年買い換えるのと、数万円のパンツを10年履き続けること。どちらが経済的で、どちらが環境に優しいかは明白です。
「ボロボロになるまで使い倒し、さらに修理して使い込む」。このプロセスそのものに価値を感じる人にとって、パタゴニア アイアン フォージ は決して高い買い物ではありません。
最後に:パタゴニア アイアン フォージを選ぶということ
パタゴニアのワークウェアを身に纏うということは、単に頑丈な服を着るということ以上の意味を持ちます。
それは、環境負荷の少ない素材を選び、作る人の労働環境を守り、一つのものを長く大切に使うという「意志」を表明することでもあります。
過酷な現場で自分を守ってくれる盾として。
焚き火の夜を共にする頼もしい相棒として。
あるいは、何十年後の自分に引き継ぐ一生モノの日常着として。
一度その袖を通し、その重厚な生地の感触を確かめてみてください。最初に感じた「重さ」は、使い込むうちに「安心感」へと変わり、あなたの生活に欠かせない一部になっていくはずです。
パタゴニア アイアン フォージは、単なる衣類を超えた、あなたの挑戦を支える本物の道具なのです。

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