パタゴニアのファンなら誰もが一度は耳にしたことがある伝説のフリース、それが「R4ジャケット」です。
現在、パタゴニアの公式サイトを覗いてもその姿を見ることはできません。数年前に惜しまれつつも廃盤となってしまったからです。しかし、古着市場やオークションサイトでは今なお高値で取引され、熱狂的な支持を集め続けています。
なぜ、最新技術が次々と投入されるアウトドア業界において、あえて古いパタゴニア R4を探し求める人が後を絶たないのでしょうか。
今回は、パタゴニア史上最強の防風性を誇ったR4の魅力と、今から手に入れるための賢い選び方、そして現行モデルとの決定的な違いについて、徹底的に深掘りしていきます。
パタゴニア「R4」が伝説と呼ばれる最大の理由
パタゴニアのフリースには「R(レギュレーター)」シリーズという階層があります。R1、R2、R3と数字が大きくなるにつれて保温性が高まる仕組みですが、その頂点に君臨していたのがR4でした。
このモデルを唯一無二の存在にしているのが、圧倒的な「防風性」です。
通常のフリースは、編み目の隙間から風が通り抜けてしまうのが弱点です。どれほど毛足が長くて暖かくても、冷たい風が吹けば一気に体温を奪われてしまいます。そのため、フリースの上にウィンドブレーカーやシェルを重ね着するのが登山の常識でした。
しかし、パタゴニア R4は違います。
表地と裏地のフリースの間に「ウィンドブロック・メンブレン」という特殊な防風透湿フィルムをラミネート(貼り合わせ)しているのです。これにより、フリースでありながら風を100%近く遮断し、インナーとしてもアウターとしても完結する超高性能な一着となりました。
「風を通さないフリース」という概念を世に知らしめた功績は大きく、これが今でも多くのユーザーを惹きつけてやまない理由の一つです。
レトロXとR4、どっちが「買い」なのか?
パタゴニアの防風フリースといえば、街着として絶大な人気を誇るパタゴニア レトロXを思い浮かべる方も多いでしょう。実は、レトロXも内側に防風フィルムを貼った構造をしており、機能的にはR4に近い存在です。
では、なぜテクニカルな用途を好む層はR4を支持するのでしょうか。
決定的な違いは「ストレッチ性」と「透湿性」にあります。
レトロXはクラシックな風合いを重視しているため、生地が厚く、ややゴワゴワとした硬さがあります。一方、パタゴニア R4はアルパイン(登山)用途を想定して設計されているため、非常にしなやかで伸縮性に富んでいます。
腕を上げたり、身体を捻ったりする動作を邪魔しないため、冬の登山やアイスクライミング、バイクのライディングといったアクティブなシーンではR4の方が圧倒的に快適なのです。
また、R4は内側にグリッド構造のフリースを採用するなど、蒸れを逃がす工夫も凝らされています。「動ける防風フリース」という点において、R4に代わる存在は現行ラインナップにもなかなか見当たりません。
廃盤となった今、中古市場でR4を狙うコツ
残念ながら新品で購入することができないパタゴニア R4ですが、メルカリやヤフオクなどの二次流通市場では現在も流通しています。
ただし、古いモデルだからこそ、購入時にはいくつか注意すべきポイントがあります。
まず確認したいのが「フィルムの状態」です。R4の心臓部である防風フィルムは、経年劣化によって「加水分解」を起こす可能性があります。内側から粉のようなものが出てきたり、生地が剥離して浮き上がったりしている個体は避けるのが無難です。出品者に「フィルムの剥離や粉吹きはないか」を必ず確認しましょう。
次に「年代による仕様の違い」です。
初期のR4は、胸ポケットにブランドロゴが刺繍されているタイプが多く、シルエットもややゆったりしています。ヴィンテージ感を重視するならこの年代がおすすめです。
一方で、2010年前後の後期モデルになると、ロゴがプリントになり、シルエットもスリムで洗練された印象になります。レイヤリング(重ね着)のしやすさを重視するなら、後期モデルを探すと良いでしょう。
最後に、フリース特有の「パイルの潰れ」です。特に肘や腰回りは摩擦で毛が寝てしまい、保温力が落ちていることがあります。写真で毛並みの状態をしっかりチェックすることが、失敗しない中古選びの秘訣です。
2026年現在、R4の代わりになる現行モデルは?
「中古は少し抵抗があるけれど、R4のような機能が欲しい」という方もいるはずです。現在のパタゴニアのラインナップから、R4の精神を受け継ぐ代替案を考えてみましょう。
筆頭候補はパタゴニア R2テックフェイスです。
これはR2レベルの保温性に、耐摩耗性と防風性をプラスしたモデル。完全防風ではありませんが、表面のハードフェイス加工が風を適度にいなし、かつR4よりも格段に蒸れにくいというメリットがあります。最新のテクニカルなフリースを求めるなら、これが最も合理的な選択肢と言えます。
もし「とにかく風を止めたい、アウターとして着たい」という目的であれば、やはりパタゴニア レトロX、あるいはパタゴニア ナノパフのような化繊インサレーションが候補に挙がります。
しかし、R4が持っていた「フリース特有の柔らかな肌触り」と「完全防風」の両立は、やはり唯一無二の魅力です。そう考えると、R4を愛用し続けるファンが多いのも頷けますね。
意外な盲点?ウェットスーツとしての「R4」
余談ですが、パタゴニアで「R4」を検索すると、フリースだけでなくウェットスーツが出てくることがあります。
サーフィンを楽しむ方にとっての「R4」は、水温3℃〜9℃という極寒の海で着用するための最高峰ウェットスーツを指します。こちらもフリースのR4と同様に、パタゴニアのラインナップ中で最もタフで暖かいクラスであることを意味しています。
もしあなたが海ではなく山や街での防寒着を探しているのなら、検索結果に「ユーレックス」や「フロントジップ」といった単語が出てきたら、それはウェットスーツの情報ですので注意してくださいね。
パタゴニアのR4は廃盤でも人気!最強の防風フリースを中古で狙うべき理由
ここまでパタゴニア R4の魅力を語ってきましたが、結論として、この一着は「持っていて損はない逸品」だと断言できます。
今のパタゴニアは、より軽量で、より環境負荷の低い素材へとシフトしています。それは素晴らしい進化ですが、一方でR4のような「圧倒的な物量と堅牢なフィルムで寒さをねじ伏せる」という、ある種のパワープレイを感じさせる製品は少なくなりました。
真冬の冷たい北風が吹く日、パタゴニア R4をサッと羽織るだけで、外気がピタッと止まるあの感覚。それは一度味わうと病みつきになります。
たとえ廃盤になっていても、その価値は色褪せることがありません。もし状態の良いR4に出会えたなら、それはあなたの冬を劇的に変えてくれる最高のパートナーになるはずです。
今のうちに信頼できるショップやサイトで、あなただけの一着を探してみてはいかがでしょうか。その圧倒的な暖かさを知ったとき、なぜこのフリースが「伝説」と呼ばれているのか、きっと心から理解できるはずです。

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