「パタゴニアという名前はよく聞くけれど、結局どこの国のブランドなの?」
「ロゴに描かれているあの山にはモデルがあるの?」
アウトドア好きならずとも、街中で一度は見かけたことがあるであろう「Patagonia」のロゴ。環境に配慮した企業姿勢や、洗練されたデザインで世界中にファンを持つブランドですが、そのルーツや「なぜこれほどまでに支持されているのか」という真の理由を知る人は意外と少ないかもしれません。
今回は、パタゴニアの知られざる誕生秘話から、南米パタゴニア地方との深い関係、そして私たちが一着のウェアを一生モノとして愛用し続けられる理由まで、その魅力を深掘りしていきます。
パタゴニアはどこの国のブランド?ルーツはアメリカにあり
まず結論からお伝えすると、パタゴニアはアメリカ合衆国のブランドです。
本社はカリフォルニア州のベンチュラという、美しい海に面した街にあります。1973年に創業者であるイヴォン・シュイナードによって設立されました。
「パタゴニア」という響きから、南米のブランドだと思っていた方も多いのではないでしょうか。実は、ブランド名そのものは南米の地名に由来していますが、企業としてのルーツはアメリカのクライミングカルチャーの中にあります。
創業者のイヴォン・シュイナードは、もともと凄腕のクライマーでした。彼は自分が使うためのクライミング用具(ピトン)を独学で作り始め、「シュイナード・イクイップメント」という会社を立ち上げます。その機能性の高さから、彼の作る道具は瞬く間に全米のクライマーの間で評判となりました。
その後、クライミング用具だけでなく、丈夫で機能的なウェアも提供したいという想いから、ウェア部門として独立させたのが「パタゴニア」の始まりです。
名前へのこだわりとロゴに隠された名峰「フィッツロイ」
なぜ、アメリカのブランドでありながら「パタゴニア」という名前を選んだのでしょうか。そこには、冒険者たちが抱くロマンと、厳しい自然への敬意が込められています。
遥かなる大地「パタゴニア」への憧憬
パタゴニア地方とは、アルゼンチンとチリにまたがる南米大陸の南端部を指します。そこは「世界の果て」とも呼ばれ、荒れ狂う嵐、巨大な氷河、そして天を突くような険しい岩山が連なる、地球上で最も過酷で美しい場所の一つです。
イヴォン・シュイナード自身もこの地を旅し、その圧倒的な自然に魅了されました。ブランド名にこの地を選んだのは、どの国の言葉でも発音しやすく、かつ「地図には載っていないような遠い異国への憧れ」を想起させるためだったと言われています。
ロゴのモデルはパタゴニアの象徴「フィッツロイ」
パタゴニアの製品タグやロゴマークに描かれている、ギザギザとした山のシルエット。これには明確なモデルが存在します。それが、パタゴニア地方にある名峰**フィッツロイ(Fitz Roy)**です。
標高3,405メートル。数字だけ見るとエベレストなどには及びませんが、垂直に切り立った岩壁と予測不能な悪天候により、世界中のクライマーが一生に一度は登りたいと願う、難攻不落の山として知られています。
このフィッツロイを冠したロゴは、パタゴニアが提供する製品が「世界で最も過酷な環境に耐えうるものである」という決意の象徴でもあるのです。
なぜ高い?それでも「一生モノ」と言われる圧倒的な理由
パタゴニアの製品は、決して安くはありません。例えば定番のフリースジャケットであるパタゴニア レトロXなどは、一着で数万円します。しかし、一度手にした人の多くは「次もパタゴニアがいい」と口を揃えます。
なぜ、パタゴニアはこれほどまでに高く評価され、「一生モノ」と呼ばれているのでしょうか。
1. 流行を追わない「機能美」の追求
パタゴニアのデザインは、驚くほどシンプルです。それは、流行を追いかけて消費される服ではなく、数十年後も古臭くならずに着続けられる服を目指しているからです。
すべてのデザインには意味があります。
- 風の侵入を防ぐ襟の高さ
- バックパックを背負ったときに干渉しないポケットの位置
- 激しい動きを妨げないカッティング
こうした現場主義の「機能美」が、結果として街着としても美しく見える普遍的なスタイルを作り上げています。
2. 「新品を買わないで」という驚きの哲学
パタゴニアを語る上で欠かせないのが「Worn Wear(ウォーン・ウェア)」という取り組みです。彼らは、自社の広告で「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」というメッセージを発信したことがあります。
これは、「本当に必要でないなら新しいものを買うのではなく、今持っているものを修理して長く使い続けてほしい」という、消費主義へのアンチテーゼです。
パタゴニアは、業界でも類を見ないほど大規模なリペア部門を自社で抱えています。ジッパーが壊れた、火の粉で穴が開いた、生地が擦り切れた……そんな時、彼らは喜んで修理を受け付けてくれます。
修理してツギハギになったウェアは、単なる中古品ではなく、あなたと共に過ごした「冒険の証」になります。このアフターサービスの充実こそが、パタゴニアを一生モノたらしめる最大の理由です。
3. 素材への妥協なきこだわり
パタゴニアは、環境負荷を最小限に抑えるための素材開発において、世界のトップを走っています。
- オーガニックコットン: 1996年以来、すべての綿製品を農薬不使用のオーガニックコットンに切り替えました。
- リサイクルポリエステル: 1993年には、飲料ペットボトルからリサイクルされたフリースを世界で初めて製品化しました。
例えば、冬の定番であるパタゴニア ダウンセーターなども、リサイクルされた漁網を素材として再利用するなど、常に進化を続けています。こうした見えない部分への投資が、製品の品質とブランドへの信頼を支えています。
パタゴニアを象徴する人気アイテムたち
パタゴニアには、数十年間にわたって愛され続けている「名作」がいくつも存在します。ここでは、初心者の方でも取り入れやすく、かつブランドの魂を感じられるアイテムを紹介します。
フリースの原点「シンチラ・スナップT」
今や冬の定番素材となったフリースですが、実はパタゴニアが開発に深く関わっています。その代表格が「シンチラ・スナップT」です。軽くて暖かく、速乾性に優れたこのウェアは、アウトドアの常識を塗り替えました。
究極の街着「レトロX・ジャケット」
厚手のフリースと防風性の裏地を組み合わせたレトロXは、パタゴニアで最も人気のあるアイテムの一つです。風を通さないため、アウターとしても非常に優秀。もこもことした独特の質感は、男女問わず愛されています。
どこへでも行ける「バギーズ・ショーツ」
「これ一着あれば、夏はどこへでも行ける」と言われるのが、多機能ショーツの「バギーズ」です。水陸両用で、速乾性が高く、驚くほど丈夫。海で泳いだ後にそのままカフェへ行く、そんな自由なスタイルを叶えてくれます。
企業姿勢への共感:地球を救うためのビジネス
パタゴニアが他のブランドと決定的に違うのは、ビジネスを「地球を救うための手段」と考えている点です。
創業者のイヴォン・シュイナードは、2022年に驚くべき決断を下しました。企業の全株式を環境保護のための信託と非営利団体に譲渡し、「地球が私たちの唯一の株主である」と宣言したのです。
これにより、パタゴニアがビジネスで得た利益のすべては、気候変動対策や自然保護活動に充てられることになりました。
私たちがパタゴニアの製品を買うということは、単に質の高い服を手に入れるだけでなく、環境を守るための活動に一票を投じることと同じ意味を持っています。この「意味のある消費」こそが、現代の感度の高い人々を惹きつけてやまない理由なのです。
パタゴニアを選ぶ際の注意点:サイズ選びのコツ
アメリカ発のブランドであるため、日本国内で選ぶ際には「サイズ感」に注意が必要です。
基本的には、日本の一般的なサイズよりも「ワンサイズ下」を選ぶのがセオリーと言われています。
- 普段 Lサイズを着ている人 → Mサイズ
- 普段 Mサイズを着ている人 → Sサイズ
ただし、モデルによって「スリム・フィット(細身)」や「リラックス・フィット(ゆったり)」など設定が異なります。また、袖丈が長めに作られているのも特徴です。高価な買い物になるからこそ、可能であれば店舗での試着、あるいは公式のサイズチャートを念入りにチェックすることをお勧めします。
まとめ:パタゴニアはどこの国のブランド?名前の由来や人気の理由、一生モノと言われる魅力を解説
「パタゴニアはどこの国のブランドか?」という問いから始まった今回の深掘り。その答えは、アメリカ・カリフォルニアで生まれた、地球を愛する冒険家たちのブランドでした。
南米パタゴニアの名峰フィッツロイを胸に刻み、利益のすべてを地球に還元する。そんな唯一無二の哲学を持つパタゴニアのウェアは、単なるファッションアイテムの枠を超えています。
- アメリカ生まれの確かな品質と機能性
- パタゴニア地方への憧れとリスペクトから生まれた名前
- 修理して何十年も着続けられる一生モノとしての価値
- 環境保護という強いメッセージ
もしあなたが、長く愛せる「最高の一着」を探しているのなら、ぜひパタゴニアの製品を手に取ってみてください。その袖を通した瞬間、あなたも地球を救うための大きな物語の一部になるはずです。
パタゴニア トートバッグや小物から始めてみるのも良いかもしれません。一度その哲学に触れれば、きっとあなたもパタゴニアの虜になることでしょう。

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