パタゴニアというブランド名を聞いて、真っ先にあの美しい朝焼けのような色の山並みを思い浮かべる人は多いはずです。アウトドア好きならずとも、街中で一度は見かけたことがあるあのロゴ。実は、単なるデザイン以上の深い物語と、ヴィンテージファンを熱狂させる秘密が隠されているのをご存知でしょうか。
今回は、世界中で愛されるパタゴニアのロゴにスポットを当て、その由来から歴史、そして古着選びに役立つ年代別の見分け方まで、徹底的に深掘りしていきます。
パタゴニアロゴのモチーフは実在する「聖地」だった
あのギザギザとした山のシルエット。架空の山だと思っている方もいるかもしれませんが、実は南米に実在する山群がモデルになっています。
クライマーの憧れ「フィッツロイ」
ロゴのモデルとなったのは、アルゼンチンとチリの国境に位置するパタゴニア地方の最高峰「フィッツロイ山群」です。標高自体は$3,405\text{m}$と、世界最高峰レベルではありません。しかし、垂直に切り立った花崗岩の絶壁と、吹き荒れる猛烈な嵐に行く手を阻まれるため、エベレストよりも登頂が困難と言われることすらある「聖地」なのです。
創業者であるイヴォン・シュイナード自身が、1968年に仲間たちと中古のバンでカリフォルニアからパタゴニアまで旅をし、このフィッツロイに新ルートで登頂しました。その時の感動と自然への敬意が、ブランド名とロゴのデザインに直結しています。
色彩に込められたパタゴニアの空
ロゴの背景を彩るオレンジ、紫、青のグラデーション。これはパタゴニアの荒野で目にする「夕映えの空」を表現しています。厳しい自然環境の中で、一瞬だけ見せる劇的な美しさ。あの色彩には、自然を征服するのではなく、自然の一部として共生するというブランドの哲学が反映されているのです。
タグで判別!パタゴニアロゴの歴史と変遷
パタゴニアの古着を探していると、ロゴのデザインが微妙に違うことに気づくはずです。この「タグの差異」こそが、その製品がいつ作られたものかを示す重要な手がかりになります。
1970年代:黎明期の「白タグ」
ブランド設立当初の1970年代に見られるのが、背景が白い「白タグ」です。現在のカラフルなものに比べると非常にシンプルで、山の輪郭もどこか素朴な印象を受けます。この時代のアイテムは現存数が極めて少なく、ヴィンテージ市場では家宝級の扱いを受けることも珍しくありません。
1980年代前半:迫力の「デカタグ」
80年代に入ると、ロゴのサイズがグッと大きくなります。通称「デカタグ」と呼ばれるものです。この時期の大きな特徴は、ブランド名の右横に登録商標を示す「®(レジスターマーク)」がないこと。マニアの間では「デカタグ・レジなし」と呼ばれ、非常に人気が高いディテールです。
1980年代後半:完成されたデザインへ
80年代後半になると、ロゴのサイズは大きいままですが、右横に「®」マークが入るようになります。私たちが現在見慣れているロゴのバランスが、この時期に完成されました。この時代のパタゴニア フリースなどは、現行品にはない肉厚な質感があり、今でも多くのファンに愛用されています。
1990年代前半:伝説の「雪なしタグ」
パタゴニア史上、最も謎に満ちていて、かつ人気が高いのが1992年から1994年頃のわずか数年間だけ製造された「雪なしタグ」です。通常、ロゴの山の稜線には白い線(雪)が描かれていますが、このタグにはそれがありません。
なぜ雪がないのか?諸説ありますが、偽物対策としてのデザイン変更だったという説や、地球温暖化への警鐘だったという説など、様々な憶測を呼んでいます。この「雪なし」を見つけたら、それは非常に希少な個体です。
1990年代後半〜現在:洗練された現行タグ
90年代中盤以降は、ロゴが少し小ぶりになり、より洗練された印象の「現行タグ」へと移行します。サイズ感はコンパクトになりましたが、フィッツロイの力強さは変わりません。
偽物に注意!本物のロゴを見分ける3つのポイント
パタゴニアの人気が高まるにつれ、残念ながら精巧なコピー品(偽物)も流通するようになりました。特にフリマアプリなどでパタゴニア レトロXなどを購入する際は、ロゴの細部をチェックすることが重要です。
1. 「®マーク」の刺繍精度
本物のロゴにある「®」マークは、実はかなり小さく、刺繍が密集しています。そのため、パッと見ると文字が潰れて「丸い点」のように見えるのが正常です。逆に、偽物は文字をはっきり見せようとして、不自然に大きく、綺麗なアルファベットで刺繍されていることがあります。
2. 山の稜線の滑らかさ
フィッツロイのギザギザとした形に注目してください。本物は刺繍の密度が高く、山の形がハッキリとしています。偽物は刺繍の間隔が荒く、山の頂点が丸まっていたり、色が混ざって境界線がボヤけていたりすることが多いです。
3. 内側の「スタイルナンバー」との照合
ロゴそのものではありませんが、製品の内側にある白いタグには必ず「STY」から始まる5桁の数字(スタイルナンバー)が記載されています。これをネットで検索してみてください。もしパタゴニア ジャケットを調べているのに、全く別の帽子やパンツの画像が出てきたら、それは偽物の可能性が極めて高いと言えます。
なぜ私たちはパタゴニアのロゴに惹かれるのか
パタゴニアの製品は決して安くはありません。それでも、あのロゴが付いているだけで欲しくなってしまうのはなぜでしょうか。
それは、あのロゴが単なる装飾ではなく「約束」だからです。
パタゴニアは2022年、企業の全株式を環境保護団体に譲渡するという衝撃的な決断を下しました。「地球が私たちの唯一の株主」というメッセージは、世界中に感動を与えました。
私たちがパタゴニア Tシャツを着て、街を歩いたり山に登ったりする時、あのロゴは「私は環境を守る意志がある」「長く使える良いものを選んでいる」という誇りを代弁してくれます。あのフィッツロイのシルエットには、自然への愛と、未来を守るための挑戦の歴史が詰まっているのです。
まとめ:パタゴニアのロゴを完全解説!意味や山の由来、年代別の見分け方まで
パタゴニアのロゴを知ることは、ブランドの魂を知ることと同義です。
- モデルはアルゼンチンの名峰「フィッツロイ」
- 色彩はパタゴニアの美しい夕焼け空
- タグのデザインで70年代から現代までの歴史が辿れる
- 「雪なし」などのレアタグにはヴィンテージ価値がある
- ロゴは環境保護への連帯を示すアイコン
次にパタゴニアのアイテムを手に取る時は、ぜひ胸元のロゴをじっくり眺めてみてください。そこには、遥か南米の風と、創業以来変わらない熱い想いが宿っているはずです。
もし、あなたがお手持ちのアイテムがいつ頃のものか気になったら、まずはタグのサイズと「®」マーク、そして「雪」があるかどうかを確認してみてくださいね。それだけで、あなたの愛着ある一着が歩んできた物語が見えてくるかもしれません。

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