山道を駆け抜ける爽快感、鳥のさえずりや土の匂い。トレイルランニング(トレラン)は、ロードのランニングとはまた違った感動を与えてくれるスポーツです。しかし、いざ始めようと思ったときに真っ先に悩むのが「道具選び」ではないでしょうか。
数あるアウトドアブランドの中でも、圧倒的な信頼と人気を誇るのがザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)です。トップアスリートが過酷なレースで結果を出すためのテクノロジーを凝縮しながら、街履きでも違和感のないデザイン性を兼ね備えています。
今回は、初心者が安心して山デビューできる一足から、ベテランがタイムを削るためのギアまで、ノースフェイスのトレランアイテムを徹底的に深掘りします。これを読めば、あなたが今選ぶべき最高の装備が見つかるはずです。
トレランシューズの革命児「VECTIV」シリーズの衝撃
ノースフェイスのシューズを語る上で、絶対に外せないキーワードが「VECTIV(ベクティブ)」です。これは、ソールに3Dプレートを内蔵し、歩行や走行のエネルギーを効率よく推進力に変える画期的なシステムです。
ロード用の厚底シューズで主流となった「プレート内蔵」の技術を、不安定な山道でも使えるように最適化したのがこのシリーズ。特徴的なのは、靴底が「ゆりかご」のようなカーブを描いている「ロッカー構造」です。着地してから蹴り出すまでの足の回転がスムーズになり、長距離を走っても足が疲れにくいという魔法のような感覚を味わえます。
特に初心者に最初の一足としておすすめしたいのが、VECTIV Endurisです。このモデルはシリーズの中でもクッション性が高く、グラつきを抑える安定感に優れています。まだ山の筋肉ができていないビギナーにとって、着地の衝撃をやわらげてくれる厚底ソールは、怪我のリスクを減らす頼もしい味方になってくれます。
一方で、スピードを追求する上級者にはSummit VECTIV Skyが選ばれています。非常に軽量で足裏の感覚が掴みやすく、カーボンプレートの反発力を活かして一気に坂道を駆け上がることが可能です。自分のレベルや目指すスタイルに合わせて、これらのモデルを使い分けるのが賢い選び方です。
「着る」感覚で背負う、揺れないザック「TRシリーズ」
シューズと同じくらい重要なのが、水や食料を運ぶためのバックパック(ザック)です。トレラン用のザックは、一般的な登山用とは全く別物と考えたほうがいいでしょう。走る際の上下運動で荷物が揺れると、体力の消耗は激しくなり、肩や背中にストレスがかかります。
そこでノースフェイスが提案しているのが、ベストのように体に密着させる「TRシリーズ」です。このザックの凄さは、荷物を背負うというより「高機能なウェアを纏う」という感覚に近い点にあります。
日本人の体型に合わせて設計されたTR 6やTR 10は、重心が高めに設定されています。これにより、重い水や荷物を入れても振られにくく、まるで自分の体の一部になったかのような一体感を得られます。
また、走りながら補給食やスマホにアクセスできるポケット配置も絶妙です。特にフロント部分にあるボトルホルダーは、揺れを最小限に抑えつつ、素早い水分補給を可能にしています。ショートレースなら6リットル、防寒着や装備が増えるロングレースや練習なら10リットルを選ぶのが定番のスタイルです。
過酷な山の天候から身を守る「FUTURELIGHT」の魔法
山の天気は変わりやすいものです。下界は晴れていても、山頂付近では急に雨が降り出し、強風にさらされることも珍しくありません。トレランでは「濡れ」が体温を奪い、最悪の場合は低体温症を招くリスクがあるため、レインウェアは命を守る装備といえます。
ノースフェイスが誇る独自素材「FUTURELIGHT(フューチャーライト)」は、これまでの防水透湿素材の常識を覆しました。ナノレベルの太さの繊維を吹き重ねることで、水を通さないほどの細かな穴を維持しつつ、圧倒的な通気性を確保しています。
従来のレインウェアは、防水性が高くても「蒸れて暑い」のが弱点でした。しかし、FL Superior Futurelight Jacketなら、激しい運動で汗をかいても衣服内の湿気を外へ逃がしてくれるため、着たままでも快適に走り続けることができます。この「着脱の手間を省ける」というメリットは、タイムを競うランナーだけでなく、快適に登山を楽しみたい人にとっても大きな恩恵となります。
ウェアとショーツに隠された、走りを支える細かな工夫
足元や背中の装備に目が行きがちですが、肌に直接触れるウェアの選択もパフォーマンスに直結します。
まず注目したいのがショーツです。Flyweight Speed Shortなどのモデルには、腰回りにぐるりとメッシュポケットが配置されています。ここにはジェル状の補給食や鍵、軽量なウィンドシェルなどを収納できます。ザックを下ろすまでもない小さな荷物を腰に分散させることで、背中の負担を減らし、より軽快に足を動かせるようになります。
また、アンダーウェア(肌着)も重要です。汗を素早く吸い上げて表面の生地へ渡す機能を持つシャツを選ぶことで、肌を常にドライな状態に保てます。ノースフェイスのウェアは縫い目が肌に当たって擦れないよう工夫されているものが多く、何時間も走り続けるトレランにおいて、その「小さな配慮」が後半の大きな差となって現れます。
初心者が失敗しないためのサイズ選びとケアのコツ
ノースフェイスのアイテムは高性能ですが、自分に合ったサイズを選ばなければその真価は発揮されません。
特にシューズ選びでは、普段履いているスニーカーと同じサイズで決めるのは危険です。トレランでは長い下り坂を走る際、靴の中で足が前へズレます。つま先に余裕がないと、爪が死んでしまったり、激痛で走れなくなったりします。かかとをしっかり合わせた状態で、つま先に1センチ程度の遊びがあるサイズを選んでください。
ザックに関しても、Tシャツ一枚でフィッティングするのと、レインウェアを着た状態で背負うのでは感覚が異なります。可能であれば、実際に使う装備に近い状態で試着することをおすすめします。
そして、使い終わった後のメンテナンスも忘れずに。泥汚れが付いたまま放置すると、生地の透湿機能が低下したり、ソールのゴムが劣化しやすくなります。防水スプレーなどを活用しながら、大切に手入れをすることで、高価なギアを長く愛用することができるでしょう。
自然へのリスペクトとマナーを忘れずに
ノースフェイスというブランドは、常に自然との共生を掲げています。トレランを楽しむ私たちも、その精神を忘れてはいけません。
トレイル(山道)はランナーだけのものではありません。ハイカーや登山者、そしてそこに住む動植物たちの場所でもあります。すれ違う際の挨拶や、追い越し時の配慮、そしてゴミを絶対に捨てないといったマナーを守ることは、装備を揃えること以上に大切な「トレランのルール」です。
ソフトフラスクのようなゴミが出にくい道具を選んだり、環境負荷の少ない素材を使った製品を積極的に選ぶことも、これからのランナーに求められる姿勢かもしれません。
まとめ:ノースフェイスのトレラン装備で、まだ見ぬ景色の中へ
トレイルランニングは、自分自身の足で険しい道を乗り越え、絶景に出会う素晴らしい体験です。その挑戦を力強く支えてくれるのが、ノースフェイスの妥協なきギアたちです。
VECTIVの推進力、TRザックの安定感、そしてFUTURELIGHTの快適性。これらを味方につければ、今まで高い壁だと思っていたコースも、きっと楽しく攻略できるはずです。
最初は近所の里山からで構いません。お気に入りのノースフェイスのアイテムを身にまとって、一歩踏み出してみませんか?そこには、アスファルトの上では決して味わえない、自由で濃密な時間が待っています。
ノースフェイスのトレラン装備を正しく選んで、安全に、そして最高にエキサイティングなトレイル体験をスタートさせましょう。

コメント