クライミング界で「TNFC」の愛称で親しまれ、冬から春にかけての風物詩となっている日本最大級のボルダリングコンペ。それがTHE NORTH FACEが主催する「ノースフェイスカップ」です。
初心者からプロまでが同じ会場で熱狂し、それぞれの限界に挑むこの大会。2026年大会に向けて、初めて出場を考えている方も、リベンジを誓う常連組も、絶対に知っておくべき最新情報と攻略のコツを余すことなくお伝えします。
ノースフェイスカップが多くのクライマーを熱狂させる理由
なぜ、数あるボルダリング大会の中でもノースフェイスカップはこれほどまでに特別視されるのでしょうか。その理由は、単なる「順位付け」を超えた、圧倒的なホスピタリティと課題の質にあります。
まず、ルートセッター陣が超豪華です。世界大会の壁を彩るプロセッターたちが、日本全国の予選会場に赴き、そのジムの特性を活かした「最高にシビれる課題」を用意してくれます。普段通っているジムが、大会当日だけは世界基準の舞台へと変貌するワクワク感は、一度味わうと病みつきになります。
また、参加者全員に配られるTHE NORTH FACE Tシャツ(大会限定デザイン)も大きな魅力です。このTシャツを着て競技に臨むことで、会場全体に一体感が生まれ、観客と選手が一つになって盛り上がる独特の雰囲気が作られます。
自分に合ったカテゴリー(Division)の選び方
ノースフェイスカップの最大の特徴は、レベル別に細かく分けられたカテゴリー(Division)制です。自分の実力に見合ったクラスを選ぶことが、大会を楽しむための第一歩となります。
- Division 1 (D1):男子の最上位クラス。四段以上を登る日本トップクラスの選手が集結します。
- Division 2 (D2):二段から三段程度を登る上級者クラス。地方のコンペで表彰台に上がるような強者が揃います。
- Division 3 (D3):初段から二段程度をターゲットにした中上級者クラス。最も本戦進出の競争が激しいカテゴリーの一つです。
- Division 4 (D4):1級から初段前後の中級者クラス。参加人数が非常に多く、コンペの醍醐味を一番に味わえます。
- Division 5 (D5):2級から1級を目指す初中級者クラス。コンペに初めて挑戦する方にもおすすめです。
- Women’s Division (W1〜W4):女性専用のカテゴリー。レベルに応じて4段階に分かれており、華やかかつ熱い戦いが繰り広げられます。
- キッズ・ユースクラス:U-8(小学校2年生以下)からU-15(中学生)まで、年齢別に細かく設定されています。
カテゴリー選びの注意点として、過去のTNFCで上位入賞経験がある場合や、明らかな実力差がある場合は、運営側からカテゴリーの変更を促されることがあります。「勝つために下のクラスに出る」のではなく「自分の限界を少し超えるクラス」に挑戦するのが、TNFCの正しい楽しみ方です。
知らないと損をする「TNFC特有のルール」と判定基準
ノースフェイスカップには、国際ルールとは少し異なる独自の判定基準があります。これを理解していないと、せっかく登り切ったのに完登と認められないという悲劇が起こりかねません。
まず、予選で採用される「セッション方式」についてです。約50分から60分という制限時間内に、用意された約10課題を自分のペースでトライします。誰がどの課題から登っても自由ですが、重要なのは「保持」の定義です。
TNFCでは、ホールドの一部を指で触れ、その状態で体が静止(コントロール)されたとジャッジが判断した時に「ポイント(またはゾーン)」が認められます。ただ一瞬触れただけ(タッチ)では認められないため、苦しい体勢でもピタッと止める意識が必要です。
また、TOPホールドについても同様です。両手でしっかりと保持し、ジャッジが「OK」とコールするまで手を離してはいけません。興奮してすぐに飛び降りてしまい、ノーカウントになるケースは毎年必ず発生します。最後まで冷静に、ジャッジの目を見るくらいの余裕を持ちましょう。
2026年大会のスケジュールとエントリーの争奪戦
ノースフェイスカップの予選は、例年9月頃から翌年1月にかけて全国の協力クライミングジムで開催されます。そして、3月に総本山である埼玉県入間市の「Climb Park Base Camp」で本戦が行われるのが通例です。
ここで最大の関門となるのが「エントリー」です。ノースフェイスカップの人気は凄まじく、特に関東圏や都市部の会場は、募集開始からわずか数分で定員に達することが珍しくありません。
申し込みは「ONE bouldering」の公式サイトから行います。事前に会員登録を済ませ、マイページにログインできる状態にしておくのは必須です。当日はスマートフォンを握りしめ、時報とともに操作するくらいの準備をしておきましょう。また、第一希望の会場が埋まってしまった場合に備え、第二、第三希望の会場までシミュレーションしておくことを強くおすすめします。
予選を勝ち抜くための戦略的攻略法
セッション方式のコンペで勝つためには、登攀能力だけでなく「戦略」が不可欠です。限られた時間と体力をどう配分するかが運命を分けます。
- オブザベーション(下見)を徹底する競技開始前のオブザベーションタイムで、自分が登るべき課題の優先順位を決めます。一目見て「これは得意そう」と感じる課題を確実に仕留めることが、メンタルを安定させるコツです。
- 「待ち時間」を有効に使う人気のある課題には長い列ができます。並んでいる間に他の人のムーブを観察しましょう。特に自分と同じくらいの身長や体格の選手がどう攻略しているかは、最高のヒントになります。
- 無駄なトライを減らすセッション方式では、トライ回数がスコアに影響することは少ないですが(同点時のカウントバックを除く)、体力は有限です。3回連続で失敗したら一度列を離れ、チョークバッグを整えながら呼吸を整えてください。冷静になれば、見えていなかった足場に気づくはずです。
- ゾーンポイントを確実に取りに行く完登できなくても、ゾーン(中間保持ポイント)を取るだけで順位が大きく変わります。上部が明らかに苦手なムーブでも、ゾーンまでは必死に食らいつく執念が、本戦への切符を手繰り寄せます。
本戦(Base Camp)という最高の舞台
見事、予選で上位に入ると、3月に開催される本戦への出場権が得られます。本戦会場となるBase Campには、この日のために組まれた巨大な特設壁が登場します。
本戦は予選とは異なり、オンサイト方式(他の選手の登りを見ずに初見で挑む)が採用されることが多く、より緊張感が増します。しかし、プロのMCが実況し、大音量の音楽と観客の歓声に包まれて登る経験は、クライマーにとって一生の宝物になるはずです。
会場にはTHE NORTH FACEの最新ギアが並ぶブースや、飲食コーナーも充実しており、お祭りのような雰囲気を楽しめます。選手としてだけでなく、観客として足を運ぶだけでも、モチベーションが爆上がりすること間違いなしです。
ノースフェイスカップ2026完全ガイド!日程・ルール・攻略法から申込まで解説のまとめ
ノースフェイスカップは、単なる競技の場ではなく、全国のクライマーと繋がり、自分自身の現在地を確認できる最高のイベントです。
最新の日程やエントリー開始日は、公式サイトやSNSで随時更新されます。こまめにチェックを欠かさず、万全のコンディションで当日を迎えましょう。もし練習中に指を痛めたり、シューズの調子が悪かったりする場合は、早めにクライミングシューズの新調やケア用品でのメンテナンスを行っておくことも大切です。
壁に向き合うのは自分一人ですが、後ろには仲間や観客の声援があります。2026年大会、あなたが最高の笑顔でTOPホールドを掴めるよう応援しています。さあ、今すぐトレーニングを開始して、夢の舞台への第一歩を踏み出しましょう!

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